第4話

『そうなんですか。本数によっても花言葉があるなんて全然知りませんでした。でも、すみませんが、妻はたぶん4という数字は好みません』



確かにそういう人が多いのが現実だ。



『では、9本なら「いつまでも一緒にいて下さい、いつも貴女を想っています」。11本なら「最愛」です。いかがでしょうか?』



少し考えて、黙り込む男性。



私は焦らずに答えを待った。



『では…11本で…お願いします』



決意と共に出た数字。



「最愛」



奥様を1番に愛している。



男性は、それを伝えることにしたんだ。



最後の決断は奥様だとしても、その想いが届けばいいなって、心から思った。



『すぐご用意しますね。しばらくお待ち下さい』



私は、できる限り丁寧に、真紅の美しい薔薇を花束にした。



ラッピングを待ってる間も、男性はソワソワしている。



このご夫婦がどんな結末を迎えるのか…



それを知ることは出来ないけど…

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