無言の再会

 おじいちゃんの他にも、父さんの叔母に当たる人も来た。生前、母さんがお世話になって人だ。母さんの母親が亡くなってからは『母親変わりなんだ』としきりに言っていた。


 自分からしたら大叔母に当たる人は『まだこれからの人生だったのに』と悲しそうに呟いていた。


 じいちゃんは、母さんの手を握ったあと、静かに項垂れた。


 大叔母は、母さんが亡くなる二日後にここへ行く予定だった。


 じいちゃんは毎日母さんに電話を掛けていた。じいちゃんの耳が遠く、さらに母さんが声を出せなくて碌な会話が出来てなかったように見えた。声が出せなくて泣いている母さんを見て、あれは可哀想にと思えた。亡くなる当日もじいちゃんは電話をかけていた。居合わせてないので内容は分からないけど。


 母さんは生前、肺炎で苦しんでる最中、生まれ育った町に帰りたいと常々言っていた。しかし、ついに叶えることは出来なかった。


 自分はせめてもの想いで『分骨』という形で故郷に帰してやりたいと父さんに提案した。最初は反対されたが、じいちゃんの了承を貰ったのがデカく、そこから覚悟を決めた父さんが親族に話して、なんとか了承を貰うことに成功した。


 分骨の話が出たのは通夜の前日、遺体を葬儀場に運んで、家に帰っている時の頃である。

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