アポクリファ、その種の傾向と対策【ゴエティア72体の悪魔達から愛を込めて】
七海ポルカ
第1話
――22:00になった! みんな、集まってるかぁ~
――はーい!
――集まってます!
――おわあああっ! 待ってくれ! 仕事長引いて今帰ってる途中……
――私もまだ会社……みんなと話したかったよぉぉぉ
――いいぞ、急がないでも。いつもみたくゆるっと話し始めてるから、各自マイペースに参加してくれ。
――ありがとうございます。そうする
――ここのログ遅い時間まで人がいてくれるから嬉しい。
――俺も夜遅く仕事終わるから、その後でも話に加われて嬉しいな
――ご飯食べながら見てる モグモグ……。
――俺は酒を今開けた
――いいなぁ。私もビール飲もうかな
――最近金曜の夜にはここに来て飲むのが好きなんだ
――ここの人は、シザのことちゃんと心配してくれてるの分かるから好き。安心出来る
――たまに厳しいことも言うけどね
――そこがいいんですよ。ただシザを褒め称えるだけなら他のログに行ってる。
――でも結局、シザ様シザ様って言っててもなんの解決にもならないもんな。
――そうなの。
――バビロニアチャンネルもPTP事務所もコメントできないの一点張りだから、どこかで話したいんだよな
――情報共有したい。何が出来るかは分からないけど
――毎週金曜の夜、ここで話すとちょっと心が落ち着くよ
――そうか。俺、単にシザのファンだから彼を応援したいと思ってこのログ作ったけど、同じような気持ちの人が集まってくれて嬉しいな
――これで、少しでも状況が良くなれば最高だなぁ
――昨日の【アポクリファ・リーグ】見た?
――もちろん
――緊急中継だったからどうかなと思ったけど、シザ見た時ちょっと涙出た……
――救助活動だったから出たのかな?
――だと思う。
――立てこもり事件とかはやっぱりシザの俊敏性とか状況判断の早さとかは貴重だな。あと破壊力も。
――いてくれると安心する
――だな
――ライルの重力波って銃弾も撃ち落とせんのか~ 便利だよな
――アイザック先輩の氷壁も壁にはなるけどやっぱグレネード系だと破壊されることがある。その点ライルの重力波は汎用性が高い。
シザは攻撃力あるけど、ライルみたいに一度に大勢の敵の足止めとかは出来ないから、組むとバランスいいんだよな。
――やり方は一緒なのに何故アイザック先輩とライルが組むと、やたらライルが先輩をこき使ってるように見えるんだろう
――www
――シザは状況判断が早いから、アイザックみたいにごちゃごちゃ言わない。アイザックはいちいちなんで俺が! とか言うからライルと喧嘩になる しかもシザと組んでいた時には効いた「若い方が汗を流せ!」っていうアイザック理論、全くライルには効かないからなwww
――全く効かない。ライルあいつ平気で「先輩なんだからお前がやって来いよ」とか言う
――オルトロスで完全に先輩を敬うという概念を欠落させて来たライル・ガードナー
――先輩! お疲れ様です!
――ライルは利用出来るものは親兄弟先輩だろうと何でもこき使うからなー
――さすが【アポクリファ・リーグ】史上最も態度のデカいルーキー
――俺もライルのような堂々した新人になりたい
――普通は右も左も分からないことが多すぎて堂々と出来ないのが新人なんだよな。
その点ライル、デビュー時から堂々としたもんだった。さすが元警官。
――久しぶりに共闘見れて嬉しかった
――ライルがちょっと腕鈍ったんじゃないの? とかシザを弄ってたのが、逆に嬉しかった
――ほんとそう。あれで気まずさ少し無くなった
――シザ答えてなかったけどな
――それでもいいんです。敢えてその話題を避けるみたいなの、痛々しいし見ていられない。
――そうだな。ライルもシザがいてちょっと嬉しそうな感じした
――ライルいい奴 やっぱ爬虫類好きに悪いやついない
――昨日シザなんで出たんだろう?
――バビロニアチャンネルの指示だったのかな?
――乱射事件で死者二人、重軽傷者七十人なんだから、あの規模では出ない方が叩かれただろ
――出ても叩かれるし出ないでも叩かれるのか……。
――タレントってのは大変だな
――昨日出てくれたから、次も出てくれると思うのは、安易すぎるのかな。
――それは……。多分、無理だと思うぞ
――ですよね……。いや、分かってるんです。ユラ君のことがどうにかならないと、復帰はないってシザ自身が言ってたしね。
――いや分かる。尚更昨日はシザが来てくれて嬉しかった。
――でも今回の【アポクリファ・リーグ】シザ人質救出も犯人逮捕もしたのにポイントつかなかったな
――そうそう! あれってなんで? 出た以上は付ければいいのに!
――反省の意を込めて?
――反省っつって何を反省するんだよ 馬鹿か
――そうだよな。まだ勘違いしてるやついるけど、シザは自主謹慎だからな。ユラ・エンデファンには謝罪したけど、【グレーター・アルテミス】国民には謝ってねーからな。何か悪いことして懲罰謹慎食らってるわけじゃないからな。そこ勘違いするなよ
――もう謝って番組復帰すればいいのに
――ポリシーに反する
――犯罪者じゃねーんだぞ
――それはグレーゾーン。ユラ・エンデの裁判が始まって有罪確定したら、近親相姦の相手であるシザも同罪だ
――……一体何の罪なの 近親相姦って。それで有罪確定しても、相手が好きなことは変わりないでしょ。それに兄弟なら、無理に引き離されたとしても死ぬまで家族として付き合っていくはず。
捜査局って仮に有罪判決になったらそのあたりどうするんだろう
――GPSでも付けんのかな? あと接近禁止命令とか?
――バッカじゃねえの
――兄弟の在り方にまで警察が口を出すなよ うぜーな
――ホントだよな
――それ言うなら兄弟で恋愛すんじゃねーよ
――お前事件発生から一カ月経つのにまだそんなこと言ってんのか?
――時が止まってる奴が約一名
――お前のような奴は永遠に停止してろ
――一月かぁ……長いな
――俺のユラたんが一月も拘置所に……
――可哀想すぎる
――近親相姦が本当だとしてもさすがに酷いよな
――不当逮捕だって言われてたけどここまで来ると不当拘留だろ?
――今日ノグラントの情報屋来てないのかー?
――いないみたい
――来たらまた話聞こう
――私、友達がノグラントにいるから今度会いに行こうと思ってる
――捜査局に抗議の電話とかは入ってるみたいだよな。別のログで騒いでた
――連邦法では拘留期限は最大二週間
――十四日間か
――特例申請が裁判所に受理されると、プラス十日間勾留出来る。
――今日で……拘留何日目?
――今日で四十三日目
――43ー24は?
――19!
――十九日も不当拘留しやがってこの人でなし連邦捜査局め!
――これってどうなるの?
――ユラ・エンデの事務所とか……代理人とかが不当拘留だって裁判起こせば、充分戦える。
――プラチナ・タイム・プロモーションは事件発生から何にも発言してないよな
――いや、気持ちは分かる。下手にユラを弁護してもし連邦捜査局が証拠を出してきた時、立場が非常に悪くなるからな。
動くとしてもシザっていうか【グレーター・アルテミス】経由になるだろ。
ユラの方はシザのとばっちりなんだから、PTPに動けっていうのは酷なもんがある
――近親相姦なんだからとばっちりってことはないだろう
――だからそれを言ったら話が進まなくなるから言うなよ。
――不当拘留が発生してる時点でユラは文句言っていいんだよ馬鹿野郎。お前ら逮捕されたら人間としての権利全て無くなるとか思うなよ。こういうのは喧嘩なんだから。警察が仕掛けて来たら容疑者だっておかしいと思ったら堂々と抗議していいんだよ。
――なんでこういう『罪は悪いじゃん』みたいな奴って必ずいるんだろうな。こういう奴って普段どんな生活してんだろ。何にでもこうやってルールと違うから、とか言ってケチ付けんのかな。性格クソだよな
――言い過ぎ
――そうでもないだろ。自分とは無縁の世界だと思って好き勝手言ってんだから。芸能人とか有名人とかには何言ってもいいって思ってるなら、相当アホだし相当性格は悪い
――まぁまぁ、そんな正論語るのだけが生き甲斐みたいなやつほっとこうぜ。こんな奴ら自分にとんでもない不幸が襲った時に、周囲から自分とは関係ないしとか無視されて、絶望の中で死ぬほど今まで自分が他人に言った心無い言葉とか後悔しながら一人で死んで行きゃいいんだよ。俺たちが論じるまでもない
――お前が一番ぶった斬ったな。
――サラッと一番酷いことを言った
――斬馬刀のような切れ味
――サムライのよう
――話を戻そう。
――戻そうって言ってもなぁ……どうすればいいんだか
――大部分の人は、ユラ・エンデには同情してると思うぜ。シザは、養父の一件が殺人事件に関わってるから、色々言う奴もいるかもしれないけど。
ユラは事件には無関係だし、近親相姦だってリークされたのが原因。
本人は静かに暮らしてたんだしな。
それでああいう見せしめみたいな逮捕されて、今は不当拘留されてる。
――音楽界の人も、ポツポツSNSで擁護してるのは見るんだけど、イマイチ大きな流れにはなってない感じ
――分かんねえこともあり過ぎるからな。捜査局がどこまで証拠集めてるとか
――シザにはある程度分かってるはずだぞ。そんなヤバいプレイとかしてたら、画像とか証拠が出た時に下手なこと言ってたらカッコ悪い上に救いようがない
――そうなんだよ……シザが黙ってるから、なんか釈然としないんだよ。あいつの性格からいって、こんなことになったら怒り狂いまくるはずじゃん。妙に大人しいのがさ……。自分にも非があるからかなって、そう思わせるんだよ
――そんなこと言ったって今のシザに何が出来るんだよ。【グレーター・アルテミス】から一歩も外出られねーのに。
――いや、だから落ち度が無いなら、養父の件も含めて捜査局に出頭すればいいじゃん。有罪にはなんないだろ。虐待の証拠があるなら
――言ってたもんな。
――あのテレビ、前も聞いたけどみんなどう思った?
――率直に話してる感じした
――泣けた
――俺シザは嫌いだけど、あの時は真摯に質問に答えてる感じはしたよ。
――驚いた。私が予想してたのもっとシザ側の話がもたつく感じだったから。でも本当にこっちの疑問に全部答えてて、やっぱシザ・ファルネジア凄いって思った。しかもあんな重い話を、不特定多数の聞く耳も持ってないかもしれない相手にあそこまで完璧に伝えられるのすごいよ
――すぐ喋ればよかったのになあ。あれだけ喋られるんだから
――いや、そう言ってやるなよ……。ユラ君が逮捕された時のリーグ中継お前らだって見ただろ。あの時のシザ、見たことない顔してた。相当衝撃だったんだと思う。捜査局への怒りとかもあるし、ユラ君がどうなってるとかも調べなきゃならないだろうし。混乱から立ち直るのにも時間が必要だったんだろう。
むしろ三日であそこまで立て直して来たの、驚異的だぞ
――なるほど。そうですね。確かに。
――シザ、あの中継で先に帰ったでしょ? あの時バイク運転してる時戦闘用ゴーグルしてるんですよ。いつもバイク用のサングラスに変えるはずなのに。あの時だけなんですよ。
どれだけ弟の突然の逮捕に動揺があったのか分かる……。
――そうなんですか?
――そうなんですよ。シザって戦闘終了後はゴーグルと髪だけは外して解くのにあの時だけ戦闘用ゴーグルつけて走り去った。完璧主義のシザの、素の部分が感じられる一瞬だった……。
――気づいてなかった。そのシーン見たい。見てきます!
――動画はいっぱいネットにも残ってるはずだから、簡単に見つかると思いますよ
――あのインタビュー番組は、見てよかったって思う。そうじゃないと本当に、シザって口だけで全然弟大切にしてない奴だと誤解してしまうとこだったから。
――シザって本当にプライベート謎だったから、驚いたわ
――クールキャラだと思ってたけど、あいつ熱血系だったんだなwww
――いやでもホント印象変わった。気は強いの知ってたけど、あんなに身内愛の強い人だったんだね
――特にユラ・エンデへの気持ちとかがよく分かったよな。虐待が無ければ普通の兄弟でいられたはずだった、っていうのはすごい重い言葉だ。
それくらいシザにはユラしか味方がいなかったんだろう
――そうだな。普通の兄弟で、弟がいつか結婚相手を連れて来たことを祝福出来たはずだっていうのは、説得力があった。
――弟への愛情も感じたけど、俺は養父へのものすごい怒りも感じた。どれだけ酷い虐待小さい頃からされてきたんだ 怒りとかじゃない憎しみだあれ 冗談じゃなく、全ての発端はその養父の虐待が引き起こしてるって思った
――今までシザ自身が「養父を殺しました」って言っても、あんま実感なかったけど、確かにあの番組で感じましたよね。あれだけの怒りを持ってたら、確かにそういうことになるかもしれない
――これ別のログでも話してたけど、あそこで怒る所がシザ・ファルネジアの凄い所なんだよ。小さい頃から親とか育ての親に虐待された人って、もう小さいうちから心を折られてしまって、怒ることとかも出来なくなるらしい。泣くとか、心を閉じるとか、もっといくと、本当に自分が悪いから親は暴力を振るうんだって、自分を卑下して、虐待する親を肯定しようとしてしまうこととかもあるって。
だけどシザはぶちキレてただろ。あれはものすごい心が強くないと出来ないことなんだって
――うちは虐待とかない親だけど、なんとなくそれは分かります
――そのシザが、ユラ君がいてくれなかったら自分は耐え切れず必ず死んでた、って言ってたもんな。ユラ君がいる世界と、ユラ君がいない世界はそれくらいシザにとって違うんだよ。
――連邦捜査局さあ。二人を引き離して、会えなくして、それでこの兄弟が絶望して死んだら、お前ら責任取れんの?
――バカなんじゃないのかあいつら。シザに聴取したいならしたいと言えば、まだ話し合いの余地はあった。出て来ないから弟の方を狙うとか、ほんとやり方が卑怯。
――恋をしたくてユラ・エンデに恋をしたわけじゃないっていうのが衝撃的だった。
シザにとってユラ・エンデへの想いって、単なる恋愛感情じゃないよね。なんか生きる為に必要だったレベルなんだよ
――やはりダリオ・ゴールドが一番悪い
――シザも人生を狂わされた一人なんだろう
――捜査局もややこしいところに手ェ出したよな。ほっときゃいいのに……なんでよりによってこの二人に手を出したりするんだよ。
――だからその辺りは怪しいよな。やっぱりシザを【グレーター・アルテミス】から引きずり出したいっていうのが、あながち俺は嘘じゃないと思う……。
――それだけ切り取って考えると、やっぱユラ・エンデはとばっちりだよな。それはみんな分かるだろ?
――もし捜査局がそういう意図ならな。
――分かる。それは許せない。卑怯なやり方
――シザが【グレーター・アルテミス】に逃げ込んだのだって、連邦捜査局からしてみれば卑怯なんじゃないか。出頭要請も無視されてんだから
――だから出頭しねーのには意味があるって言ってんだろボケ
――おい。あまり逆らうな。また斬馬刀を持った侍が出現してしまう
――シザのことじゃなくって、ユラ・エンデのこと話そう。
要するにユラ君が【グレーター・アルテミス】に帰国出来ればシザの方は何とでもなるんだよ
――確かに
――ユラ君が自由になれば、シザは安心出来るからな
――今、何してるのかなぁ……。
――ノグラント連邦捜査局本部から護送された時に泣いてたのがすげー目に焼き付いてる……。
――流し過ぎだよな、マスコミ。狙ってんだろあれ。
――狙うって何をだよ
――同情してみたいな
――あの映像で同情票が集まるならむしろもっと流していい。
――本当だよな。そんなで何とかしてあげたいと思ってくれる人が増えるならドンドン流せよ
――泣いちゃうところもそうだけど、出て来る時メディアの多さとフラッシュの激しさに明らかに怯えてる姿が可愛かった(T_T)ああいうとこお兄さんと全然違うんだな……
――確かにww 兄貴はカメラとか全く怖がってないからなぁ
――プロピアニストって聞いたからメディア対応なんかもある程度慣れてるのかと思った
――出て来る時にメディアを怖がって立ち止まっちゃうとことても可愛かった
――いや気持ちわかる あんなもん怖いに決まってる 十六歳だぞ
――シザはああいうのをどんな気持ちで見ればいいのか
――でも可愛かったな~~~~~~っ
――いやもう可愛かったっていうか可哀想だった……見てられんかった……
――あれって、シザの言葉を見て驚いて泣いてたよね。彼はシザが番組でああいう発言をしてることすら、分からない状況にあるんだ
――弁護士と家族以外会えないんだろ? しかもシザが唯一の家族だからほぼ誰とも会えないまま、一月拘留されてるとか可哀想すぎる
――シザが【グレーター・アルテミス】に留まる理由も分かるだけに辛すぎる(T_T)
――あれってダルムシュタットにある色んな大学の学生達らしいな。フリップとか掲げてたの。
――そうなの? アポクリファの人権保護団体とかもいたって聞いた
――情報屋は、色んな奴が混じってるって言ってたけど、あの時映ってたのはダルムシュタットの大学生達らしいよ。
――グッジョブ!
――うん。いい仕事した
――過激派か
――いや違う。普通の管弦楽サークルの学生だって言ってた。ユラ・エンデ、トリエンテ王国の音楽院出てるだろ。あそこと、ノグラントの各大学って結構繋がり深かったんだって。
――遅れてすみません。
――お~情報屋、来たかぁ
――今丁度ダルムシュタットの話してたんだ
――お疲れ
――お疲れ様です。
――平気か? 飯とか食ってからにする?
――外で食べて来たんで平気です。今日、丁度近くの大学でプロのバイオリニストのコンサートがあったんですけど、その人が演目が終わった後、ユラ・エンデのことについて話してました。
アンコールは、今、望んでも音楽を弾けない同胞の為に弾きたいってスピーチをしてて……。アンコール部分だけは、撮影許可が出てたので、動画のリンクも貼っときます。みんなの力で少しでも拡散してくれたら嬉しい
――おーっ ありがたい!
――そんなことがあったのか
――SNSでちょくちょく発言してる音楽家とかはいるけど、コンサートで発言してくれるヤツって今までいたのか?
――いえ。あんまりいないと思います。ラフィ・メンデスってバイオリニストです。オルガナ出身で、過去にユラさんが出たコンクールで、審査員をしたことも何度かあるみたい。
「音楽家にとって音楽が出来ないことは、死にも等しい」ってかなりはっきりユラさんを擁護してた。
俺の印象ですけど、すごくアンコールは感動した。会場もそういう雰囲気だった
――そうなのか。俺たちなんかがここでこうやってぼやいてても、何も変わらないけど、そういう人がアクションを起こしてくれるのは嬉しいな。
――ユラ君に聞かせてあげたい
――本当だな。そういうこと出来ないんだろうか。
――とにかくあの子がたった一人っきりで聴取とか取られてると思うと気が気でない……。
――シザの話じゃ、自分は虐待されていなかったのにシザを助けようとしてくれたり、養父に殴られるようになっても、養父が精神不安定だからって心配して家に残ったりして、強い子なのかなって思うんだけど……。姿見ると儚げ過ぎて、あの子が兄貴のように数多の敵と戦えるとは到底思えん……。
――確かにそれは思えんなwww
――【グレーター・アルテミス】でシザと暮らしてたなら、あの子もアポクリファってことなんだよね? 何の能力者なんだろう? 誰か知ってる人いますか?
――そういえばユラ・エンデの能力は聞いたことないな
――ピアノか?
――それは能力じゃねえ
――シザと同じなんじゃない?
――いや、それは違うだろ。兄弟でアポクリファってのは珍しくないけど、能力が同じっていうのはかなり珍しいって聞いたことある。
――でもさあ、兄弟でもアポクリファと非アポクリファに分かれるのもよくあるから、ユラ君も能力者で良かったよね。じゃないと【グレーター・アルテミス】に一緒に来れなかったし
――そうだったな。シザも【グレーター・アルテミス】に来たのは、兄弟で能力者としての秘密まで抱え込めないからって言ってた。ということはやはりユラ・エンデもアポクリファなんだと思うよ。
――もしかしたら攻撃系能力者とかではないのかも。強い攻撃能力者だったら、養父がなんかしてきても戦えたと思うし
――そうとは限らん。考えてみろ。シザだってあんな鬼神のような強さなのに殴りつけて来る養父を殴り返すことが出来ていない。小さい頃からの虐待って精神的に支配して逆らえなくする。強い能力者だからって反撃出来るわけじゃない
――ピアニストだもんな……きっとシザとはタイプ違う能力なんじゃないかな
――儚げ……
――シザも当初は単なる美形の大学生かって思ってたけどな
――そんな日もありましたなぁ……。
――でも初日でそんな俺らのイメージあいつ粉砕して来たもんな
――ユラ君も兄貴を見習って我慢出来なくなったら捜査局の連中ぶちのめして出てきていいんですよ
――誰ももはや文句言わんな
――何の能力なんだろう シザは知ってるはず
――せめてこういう時に役立つ能力だといいな。相手攻撃するとかじゃなくてなんというか……絶対寝ようと思えば寝れるみたいな よくわかんないけど そんな感じの
――光や闇の能力者はかなり変わった能力もあるからね
――兄貴光の能力者だもんな
――キメラ種を巨大化させてる能力者がいるって都市伝説あるよね
――植物の活動を促進する能力者はいるから、あながち単なる噂とも言えないと思う
――生命活動を活発化させたり停滞させるやつだろ。光や闇は時間や空間に干渉する能力って言われてるから、実際存在するよ。治癒能力者とかも光や闇の属性だもんな
シザなんか光の強化系能力者だけど、要するにあれを他人に掛けられる奴とかもいる。
アポクリファの能力はまだ全然解析途上だから、世に出てないとか認識されてない能力者とかもまだいっぱいいるはず
――情報屋さん! アンコールの曲聞いて来ました! 綺麗です!
――ラフィ・メンデスは個人用SNSでもこういう話してくれてるから、良かったらそっちも見て下さい。
ユラ・エンデは素晴らしい音楽家だってはっきり言ってた。
なんでも、本当は今日、ヴィンチ音楽大学でユラ・エンデが学生向けのコンサートをする予定だったらしい。それが、当然中止で出来なかった。そのことについて、連邦捜査局に抗議したかったらしいよ。
ラフィは今、ヴィンチ音大で客員教授もしてる。だから学生達が彼に泣きついたんだって。それでラフィが代わりに引き受けたけど、引き受けた意図はこういうこと。学生たちがユラさんの為に訴えたいから弾いてほしいって願ったから彼も引き受けた。
――なるほど……。
――今、動画見て来た。なんかうまく言えんが、すごく感動した。会場の空気もすごくいいな。ユラ・エンデについて話した時のみんなの空気が温かい。
――見てない人は、いつでもいいから見て欲しい。
――確かに音楽家の人って近親相姦とか、そういうことには言及避けててもユラの才能とかをすごく評価してる感じするな
――そういえば俺まだユラ・エンデの演奏みたことねーや。DVDとか出してねーの?
――一般用には出してないよ。ただ、オフィシャルファンクラブ限定で、公演とかライブ映像をまとめたやつは販売してる。
――よし、ファンクラブに入って来る
――まんまとwwww
――今年の一月にようやく出たんだよ。それから、シュヴェリーンピアノコンクールでグランプリ獲って、本当にこれからって時だった……。
――わたし、聞いてみたいなぁ。
――いや、少しでもそう思うなら聞いてみてください。彼のピアノは音楽界でもかなり重鎮と言われてる巨匠とかも誉めてるから
――そらグランプリ獲ったら誉めるだろ
――例えば誰?
――アーサー・ブレナンって指揮者とかは、特に有名。彼はドレスデン音楽コンクールの審査員長を務めたから、確かにグランプリを獲ったユラ・エンデを誉めるのは当たり前だけど、コンクールが終わった後も自分の音楽活動にしばらくユラさんを伴ってた。
音楽界ではこの人かなり若手嫌いで有名なのに、ユラさんのことは確かに驚きの待遇だった。
――自分のコンサートで二回くらい弾かせてたよな? 映像にはなってないけど、ニュースになってた
――音楽に詳しい奴は多分みんな驚いたと思う。このおっさん、ドレスデン音楽コンクールで十年くらい審査員長やってるけど、他の審査員がどんなに誉めても若手を誉めたこと十年くらいなかったから
――そういうジジイいるよなwww
――そんなジジイの心まで奪ってしまうとは。俺のユラたんはやはり魔性
――今、そのおっさんなんか言ってないの?
――言ってはない
――案外あっさりwww
――人間ってそんなもん
――でも、音楽家同士が、そういう風に繋がって訴えてくれるのはすごく心強い。
――あの、提案なんですけど……。シザとか、アポクリファ特別措置法とか……。分かるんだけど、私たちがここでどうこう言ったって、結論なんか出ないでしょう?
例えばなんだけどユラ・エンデを音楽家っていう見方で、どうにか助けられないですかね?
――このログに音楽家はおらんか
――すまん……サムライしかいなかった
――なんだと
――俺たち無力
――音楽好きならいるぞ。どうすればいい
――俺もジャズサークルに入ってるから、プロとまではいかないけど、アマチュアとかには働きかけられるかも
――情報屋 お前はなんて頼れる奴だ。
――法律を勉強しながらジャズをやってるなんて情報屋さんお洒落すぎる
――カッコイイ
――俺が将来悪いことをして捕まったらお前に弁護されたい
――お前はまず悪いことをすんなwww
――働きかけてどうするんだ? 音楽家が訴えても同じだろ。捜査局は変わんねえよ。もう意地になっちゃってるもん
――だから、事件とは関わりないって方向でどうにかするんです。
――どうにかって?
――とにかく不当拘留を訴えて、シザのこととかは一切言わないで、ユラさんの音楽活動だけ再開させろってひたすらその点を訴えるの。
――ユラ・エンデのコンサート企画するってどうだ?
――お……。
――なんだそれ面白そう
――連邦捜査局だって、このまま不当拘留しても批判が増すだけだろ。とにかく、音楽活動はさせてて、自由を完全に奪ってるわけじゃありませんって示すことが出来るのは、奴らにとっても悪いことじゃないはずだぞ。
――可能性あるかな?
――ダルムシュタット市内なら何とかなるかもしれないんじゃない?
――それこそユラが通ってた音楽院とかと縁のある大学とか……、分かんないけど、別にほんと、どこでもいいんだよ。規模だってそんなデカくなくていいからさ。
――今友達にメールしてたら、お姉さんがユラ・エンデのDVD持ってるって。ファンらしい。貸してもらえることになった! うれしい!
――いいなぁ 聞きたい
――捜査局もやりようによっては任意の事情聴取をお願いしてるって、まぁ苦しい言い訳だけど、逃げ道にはなるから、検討の価値はあるはずだぞ。
――とにかく不当拘留をやめさせたい。GPSとかついててもいいから、軟禁を解除してやってくれ。可哀想すぎる。例え【グレーター・アルテミス】への帰国が認められなくても、音楽活動再開するだけでも、遠くにいるシザだって少しは安心出来ると思うぞ。
――そうだな……そうかも。シザもピアニストとしてすごく応援してたもんね。
――すごくいいと思うけど、でも具体的にどうしたらいいんだろう
――とにかく多くの人に賛同してもらって、協力してもらうことだ。今まではともかく不当拘留に入った今、連邦捜査局は多くの人間が束になって抗議するのはかなり嫌だと思うぞ。
――大勢で押し掛けてやりゃいいんだ
――乱暴はダメ。そんなことしてもユラさんの立場が悪くなるだけだ。あいつのファンはマナーがなってないとか言われたら賛同してもらえるのも賛同してもらえなくなる。
とにかく、順を追って交渉するんだ
――皆の中に、集まれる人っている?
――ここは学生より社会人の方が多いみたいだからなぁ
――実際集まるってのは難しいかも……。
――俺、とにかく一度大学とか、サークル関係とかでユラ・エンデの音楽活動再開を訴えたいっていうこと聞いてみようか。
――出来るか? 情報屋は大学もあんだろ?
――大丈夫です。サークルはしょっちゅう集まってるし。次の金曜までに、ちょっと当たってみる。結果、報せますね。どのぐらいの人が動いてくれるか分からないけど……。
――すまん……色々と
――いい奴だなぁ情報屋。そういやお前って、シザのファンなの?
――いや俺アレクシス・サルナートのファン
――おっと!
――まさかのカミングアウトwww
――最大のライバルのとこ行った!
――でもさすがです情報屋さん! 私もアレクシスのファン! かっこいいですもんね!
――すごい協力してくれるからシザのファンなのかと思ってた!
――けど、俺アポクリファじゃないし【グレーター・アルテミス】にも行ったことないから、すごくその街に憧れてます。アレクシスのファンって言ったけど、勿論【アポクリファ・リーグ】のファンだよ。特別捜査官達はみんな好きだ。色んな能力持ってて、チーム組んでて面白いしかっこいい。
DVDでしか見れないけど、今まで出たの全巻持ってるし、いつも楽しませてもらってる。それで今回の騒動があって、完璧で非の打ち所の無いって感じだったシザにすごく人間味を感じて、彼にも興味持った。
それにアポクリファ特別措置法と今回の逮捕は、法律を学んでる身として、やっぱりちょっと許せなかったから、動向が気になったというのもある。
それで事件気にしてるうちに、元々音楽興味あったから、ユラ・エンデの映像とかも探して借りたりして、彼のファンにもなった。
別に二人とも誰かを傷つけてるわけじゃないんだから、単純に好きな人と普通に会えて、一緒に過ごせるようになってほしいって思うよ
――情報屋ぁぁぁ!
――どこまでもいい奴
――情報屋さん、感動しました。私も仕事してるから、どこまで協力できるかは分からないけど、でも何か企画が立ち上がったら、出来る限り協力します。
――俺も、やってみようかな。
――これでもしユラ・エンデのコンサート実現したら、すごいよな。嬉しい。
――まだ企画もはっきりしてないから、どう協力すればいいのか分かんない人いるのも無理ないと思う。もし上手く企画が立ち上がったら、後からでもいいんで協力出来る人、してくれたら嬉しいです。
俺がこうやって前向きになれるのは、ダルムシュタットにいる友達とかサークル仲間も、同じように考えてるからなんだ。
俺の友達アポクリファも、非アポクリファもいるし、今回の事件結構皆深刻に受け止めてる。もし自分とか、自分の友達が同じ状況だったらどうするみたいな……。
――そうなのか。
――うん。だから……そんなに何でもかんでも他人事って感じじゃないよ。こっちも。
ユラ・エンデだって俺たちと同年代っていうか、下手すると俺たちより年下だ。
やっぱ、可哀想だなって思うよ。
何とか助けてやりたいってみんな言ってる
――なんだよぉぉ 連邦捜査局はクソだがダルムシュタットの奴らみんないい奴だなぁぁぁ
――そうだ ユラ君よく考えたら十六歳だった 俺自分が十六歳の時のこと思い出してるけどママに反抗してんのに悪さとか失敗すると庇ってもらってるクソ息子だったぞ
ユラ君はそういう存在もないのか……。
それ考えたらシザもユラも、もっと幸せになっていいし幸せになってくれ……。
――シザとユラを応援したい奴だけここに残ればいい。批判したい奴は他のログに行ってくれ。近親相姦とか、治外法権とか、そういうこと論じたい奴はそういうとこにな。
――水を差されると邪魔だからな。
――とにかく賛同者は多ければ多いほどいい。
――そういや、ここの主体ってシザファンの奴が多かったけど、ユラ・エンデのファンとかは今どうしてるんだろう?
――辛いだろうな。
――心配してるだろう……。
――あの、私二人どちらものファンだから、どっちのログも見てるんですけど、ユラさんのファンの中でも何かしたいと思ってる人多いみたいですよ。
この際協力してみたら、もっと大きな動きになるかも
――そら協力出来るならしたいけど無理だろ……
――なんで?
――だって俺らっつうかシザってユラ・エンデファンに嫌われてるもん
――そうだった
――最初の応対が悪かったな。
――まぁなぁ……仕方ないこととはいえ
――いや最初の応対が早くても許せなかったと思うぜ。向こうはシザと兄弟ってことを知ってる奴さえ少なかったんだからさ。そこに来て近親相姦でユラだけ逮捕されて拘留されればファンはショックだろう
――シザだって助けに行けるなら行ってた
――行ってたかな?
――行ってた! 当たり前だ!
――そうかなぁ あいつ計算高いし
――何とでも言え シザはちゃんとあんなプライベートなことも辛いことも全部【グレーター・アルテミス】国民には包み隠さずカメラの前で語ってくれた。それに養父のことだって最初の記者会見で言った時はびっくりしたぞ。
シザとユラの繋がりなんて想像することしか出来ないけど、あいつら単なる恋人じゃない。恋人で兄弟だ。きっとお互いのこと普通の人よりずっと分かってる。
シザが助けに行かないけど、今は【グレーター・アルテミス】でユラを待つと決めたのなら、そうするしかないんだと思う。ユラだってそんなことでシザが殺人罪で逮捕されてみろ。自分が例え自由になってもきっと辛いはずだ。罪状で言ったらシザの方がマズい。勢いで助けに行ったらもっと大変なことになる。今はシザの判断に任せるしかない。
そこから先はあいつら二人の問題だ。他人がとやかく言うことじゃない
――わたしもシザ信じます。ファンだから信じたい……。
――それにユラのファンには、驚かせたことは申し訳なかったってちゃんと謝った。
自分の好きな人のファンに対する敬意がちゃんと感じられたぞ
――自分のファンには厳しい奴だがな
――馬鹿野郎シザはそれがいいんだ
――そうだファンに媚びたらシザなんかじゃない
――要するに今回のことがファンに謝るようなことならシザはダルムシュタットに出頭したんだろう。そうではないから、謝らないし出頭していない。
シザの行動は一貫してるし筋は通してる
――それでも、ユラ君のファンには突然のことで申し訳なかったって謝ってる。
すごくユラ君のファンには気を遣ったと思うぞ
――やはり最愛の人のファンにはシザも弱かったか……
――可愛いなオイ°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
――何て言ったんだっけシザ
――【グレーター・アルテミス】国民には、自分の事情とかは包み隠さず話して来たけど、ユラのファンの中にはシザと兄弟だってことも知らない人が多かったから、驚いただろうって。
それにユラの音楽の世界観も殺伐とした自分の世界観とは似てないから、そのことでイメージが崩れたと思ってしまう人もいるだろうからって謝ってたよ
――偉いよな。普通二十三歳でそこまで言えん
――あいつまだ二十三かよ。俺よか年下だった
――そうだな。なんかシザって十代の頃から【アポクリファ・リーグ】参戦してたし、活躍たくさんしてるからもう【アポクリファ・リーグ】の重鎮みたいなイメージついてたけど、よく考えたらまだ若造じゃねえか
――シザ・ファルネジア二十三歳ですでにシーズンMVP三回獲ってる これはまだまだ記録伸びるな
――そんなこと言ったらアレクシス・サルナートだってまだ二十五歳だからな。同じ時代でこんな同じくらい強い二人が現われて【アポクリファ・リーグ】のMVP競い合ってるの本当に熱い。この二人のライバル関係どこまで続くんだろう アイザック先輩四十歳であることを考えるとまだ十年以上こいつらの優勝争いで楽しめるのか! 嬉しすぎる!
――言っておくが我らのアレクシス・サルナートは史上初の四連覇達成した唯一無二だからな。シザなんぞ二連覇が限度だ 絶対アレクシスの方が凄い
――なにをー! ヽ(`Д´)ノ 見てろてめー! 今年もシーズンMVP獲ってまず三連覇してやるからな! 三連覇したら次は四連覇じゃねえか! そんなもん、すぐそこだ!
――ふふん。シザ謹慎中ですよー 果たして三連覇出来ますかねえ。
――キィィィィィ!( ゚Д゚)💢💢💢
――喧嘩すんな 仲良くしろwww
――www
――まあどっちの気持ちも分からんでもない
――リーグも今すげー面白いとこなのになあ。
――連邦捜査局ホントムカつくわ しょーもないことしやがって
――俺もうシザ三十近いイメージなんか知らんが持ってたわ
――絶対態度がデカいせいwww
――最初から新人らしからぬ態度だったからのう
――若いのにちゃんとしてるよな
――えらい
――【グレーター・アルテミス】に来て家借りてから、家具よりピアノ先に買ったってエピソードがとても兄弟的に可愛かった
――私シザに弟がいることすら知らなかった分類だから、すごくそのエピソード新鮮でした。ほら、アイザック先輩とかと組んでるとシザ弟属性に見えるじゃないですか。でもシザって本当はお兄ちゃんだったんですね
――恋愛の部分は虐待のこととか、色んな事情が絡んでるから、他人にどうこう言えん。
でも、そういうの考えなければシザが兄貴なんてホント頼もしいよな 十六歳で兄弟二人だけで【グレーター・アルテミス】に来たんだろ? それで弟もちゃんと音楽院に行かせてんのほんと偉い
――あいつが何をそんなに夢中で犯罪者狩りや巨獣狩りでポイント賞金稼ぎやってんだろ戦闘民族の人なんだろうかと思ってたけど、弟の為だったんだなwww
――そう考えたらあいつのえげつない流星蹴りも、涙を流して見れるな
――見れるかァ! 騙されるな!
――弟の為にしても折らなくていい犯人のアバラとか前歯とかは折ってるだろシザてめえええええ!
――www
――まあとにかくそれくらいシザも、恋人云々以前にユラ・エンデというピアニストに敬意を払ってるんだろう
――そうだな。離れてもピアニストとしての彼の生活を応援したくらいだ
――【グレーター・アルテミス】に戻った時くらいイチャついていい
――怒る気持ちは分かるけど、今回のことは連邦捜査局が仕掛けたことなんだから、シザにもどうしようもなかった。二人のことを考えるとユラ・エンデファンにはあんまシザのこと嫌わんで欲しいな……。
――シザファンってユラのことどう思ってんのwww
――微妙
――女とかはショックなんじゃない? 彼女持ちかよ! っていう
――心配するな例えユラと恋人同士じゃなくてもお前とシザが恋人になることは絶対にない
――私だけのシザ様でいてほしいんじゃない?
――諦めろ。明らかにシザはユラ一筋だ しかも弟だけど確かに異常に可愛かった。お前らには到底勝てん
――シザファンの女って痛い奴多いよな
――コラ。そういうこと言うなって。
――いじめてやるな
――おい、しっかりしろ。五分前に二人の為に団結しようと誓ったばかりだぞ
――そうであった
――五分で忘れたwww
――やはりこんなファンでごめん……
――いい方向に進むといいなぁ
――あのう……。
――ん?
――なんだ?
――すみません、ちょっと話見てたんですけど、私別のログで、ここみたいにユラ・エンデを応援しようみたいな所もよく見てるんですが……
――ぎくっ!
――なななんだ べべべつに悪いことはしてないと思うぞ いまのところは……
――俺たちはたださりげなくシザを応援したいとそこはかとなく思ってるだけで、別にユラ・エンデに文句は言ってないぞ
――それはたまにユラちゃんかわゆい♡ とかは言ってる奴は見かけるけども。
――なんだ! なんか文句あるのか! 本当に可愛かったんだからしょーがないだろ!
――シザだってすごく反省はしてる!
――いえ……そうじゃなくって。
二人に関して色んなログありますけど、ここのログが一番シザを心から応援してる人たちが多くて、私も彼のファンだからよく覗かせてもらってるんですけど、
みなさんがユラさんを応援したいって話してるの見てて……。
ユラ・エンデファンが集まってるログで、今ちょっとそういう話が立ち上がりかけてますよ。
具体的に動こうとしてる人もいるみたいだし、この二つのログの人が協力し合えれば、大きな流れにならないかなぁ……とか思ったり……。
向こうも協力してくれる人、探してるみたいだし、一度話してみたらどうでしょう?
――どうでしょうって……言われてもなぁ……
――どうでしょうも何も、俺らユラ・エンデファンから嫌われてるしなぁ……
――そんなことないですよ。確かにユラさんのファンの人最初はシザに怒ってましたけど、あの独占インタビューを聞いてから、印象が変わったってみんな言ってます。
――私の友達、ユラさんファンだけど、シザさんの独占インタビュー見てすごく嬉しかったって言ってます。最初は弟に手を出してるとかすごい嫌だったけど、本当に大切にしてるんだなっていうのが伝わって来たって。二人で生きて行かなければならなかったあの二人の状況とかも初めて知って。今では二人を応援してる人すごく多いですよ
――どんな話なの?
――ここと本当に似たようなこと。
ユラさんを、とにかく音楽活動だけはさせてあげて欲しいっていうのを、訴えようとしてる
――そうなのか。それは協力出来たらいいよな
――話だけしてみる?
――情報屋ぁ いるか~?
――います。
――ちょっとログ見に行ってみる? お前なら話聞けば、なにかいい案浮かぶかも
――そうだな。いきなり全員で押し掛けても、可憐なユラたんのファンの人達を驚かせてしまう
――いや待て ユラが可憐でもファンの人達が可憐かは分からんだろう
――シザ見かけたらシバキ回してやるとか吠えている豪気な人もいたぞ
――愚かな。シザ・ファルネジアのペルセウスのような強さを知らんのか
――もしかしたら他の国のファンなら知らんのかもしれん。しかも向こうは【アポクリファ・リーグ】なんぞ知ったこっちゃないひとだっているはずだ
――そうか! ユラのファンの人は【アポクリファ・リーグ】を知らない人もいるのか
――そうだよ。むこうは普通の音楽好きの人が多いはず
――なんか新鮮~~
――今気づいた
――おいっ! シザが巨大キメラ種に流星蹴りして吹っ飛ばしてる映像、どっかにちゃんと隠しておけ!
――それから奴の危険なバイク走行シーンもだ こんな奴のバイクのケツにユラが乗せられると思ったら、きっとファンの人は気が気でない 相手はピアニストだぞ。豆腐を運ぶように慎重に運べ
――よし! アレクシス・サルナートをこの人がシザですって言い張ろう
――それはいい案だ。彼は品行方正だからどこにお婿さんに出しても恥ずかしくない
――なんだとー! シザだってユラちゃんが巨大キメラ種に街中で襲われた時とかに絶対とても頼りになるぞ!
――アレクシス様だって巨大キメラ種なんかこわくないぞ
――一撃の破壊力じゃシザの方がアレクシスより上だ!
――ふふん。馬鹿め。アレクシスは万能型だ。攻撃も出来るし風を使って防御壁も作れる!
攻撃も防御も出来て空も飛べて無敵だ!
――なんだとー! 降りてこいこの野郎!ヽ(`Д´)ノ💢💢
――やだよーだ! ブーン!(´∀`*)-☆
――www
――この二人面白いからもう少しやらせときましょう(笑)
――なんだとー! くそう! 折角今ランキング争いがいいところなのに! こうなる前に最終決着をつけておけばよかった!
――あー、すまん街中にそんな突然巨大キメラ種は出現しないことを告げておくぞ
――いや、さすがに他国でも、もうみんなシザ・ファルネジアの顔は知ってる
――そうだった
――うっかりした
――バレてた
――改めてオススメしよう! シザは確かに時々乱暴が過ぎるところが玉に瑕だが、顔は間違いなくイケメンだ 腹立つくらいカッコいいぞ 俺の彼女も奴のファンだ。奴の決め技見るとキャアキャア言ってる。実際あんな美形が家にいたら気ぃ使って疲れるぞ。俺くらいの平凡な顔が結局一番和むだろって言ったら「ハァ⁉」って言われた。全く腹立つ。
――www
――まあ美形ですわな しかもあいつあの顔ですげぇ身長もでけえしな 美形なのに戦闘能力も高いとか一体どういうことなのか説明して欲しい
――誰にだよ
――神様だ。神様に説明求む
――身体もマジで鍛えてるぞ。単なる細身の優男じゃない
――ダルムシュタット国立大卒の秀才です
――中退な
――そうだった
――でも中退した理由は養父の虐待だったんだろ
――そうだった……
――事件は在学中だもんな
――愛の為に卒業も捨てた
――おっさんの扱いも上手いしヤンチャが過ぎる後輩の扱いも上手いですぜ
――おいヤンチャが過ぎる後輩って誰のことだ
――ライルのことなんて誰も言ってないよ
――言った!
――今はっきり言った!
――まあとにかくこんなシザさんだから、ユラ君ファンの方、心配しないでいいよ!
――心配……。
――すっごい心配……
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