第12話:ライラの正体。

「いい?びっくりしないでね」


「何が始まるの?」


「黙って、見てて」


そう言うと私は徐々に本来の私の姿に戻っていった。

カムフラージョがすこしづつ解けていった。

北斗君の見てる前で、私の姿が確認できるくらいはっきりした。


これが私の本当の姿・・・。


髪は白く肌はピンク色で両ほほに奇妙な模様があって、およそ人間とは

違う容姿だった。

顔の形や体型は人間とほぼ変わらないけど、でも人間じゃなかった。


北斗君はポカ〜ンとした顔で私を見ていた。


「隠しててごめんね・・・私は実は異星人で、これが私の本当の姿だよ」


「まじで・・・?」


北斗君は、しばらく固まったまま私を頭の先からつま先まで見て言った。


「いやいやいや・・・ちょ、待って・・・頭、整理するから」

「こんなことある?」


「驚いたでしょ・・北斗君が会ってた女子高生の私は偽物なんだ」

「だから騙したみたいなことになってごめんなさい」

「カムフラージュして地球人の女の子に化けてたの」


「実は私はこの地球から何億光年も離れた惑星から来たの」

「ね、これで私の名前が長いのも分かったでしょ」


「惑星って?・・・君、宇宙人とか異星人・・・だって言うの?」

「うそだ〜、そんなの信じられるわけないじゃん」

「UFOを見たって話だって本当のことだか分からないってのに?」


「あ、分かった・・・」

「あとで、これコスプレでした〜って言うんでしょ?」


「そう言うと思った・・・」


「でもわざわざ、そんな手の込んだことしないよ」


「北斗君の目の前にいる女は、まちがいなく異星人・・・コスプレなんかじゃ

なく、これは現実だよ」


「ね、これで私が北斗君の彼女にはなれないって言ったわけ分かったでしょ?

・・・理由としてはこれ以上、はっきりしたことないよね」


「だから、なにもかも白紙にもどそう・・・」

「短い間だったけど、私は北斗君と会えてよかったって思ってる」

「北斗君のこと、心から好きになれたし」

「それだけは、ウソじゃないからね・・・信じてね」


「ちょっと待って・・・何言ってるの?」


「私の正体が分かった以上もう、北斗君とはいられないでしょ?」

「私・・・本当は泣きたくてしかたないの・・・でも堪えてる」

「もし泣いちゃったら・・・二度と泣き止むことないって思うから・・・」


「泣かなくていい・・・その必要ないから・・・」


「だって?」


「君が異星人だからって、それが別れる理由になんかならないよ、そんなの

一方的だよ」


「だって、私の姿、見たでしょ?」


「それがなんだって言うんだよ?」

「今の言ったけど、そんなことか、俺たちが別れる理由になんかならないよ」

「そんなの絶対おかしいよ・・・」


「北斗君・・・」


「君が異星人だって分かったからって、その容姿が人間じゃないって

分かったからって僕の君に対する気持ちが変わるとでも思ったの?」


「だって、普通はこんなの見せられたら引いちゃうでしょ」


「そんなことない、ライラと別れたくなんかないよ・・・嫌だよ」


「もっと早く言おうとしたんだよ・・・でも、北斗君のことどんどん好きに

なっちゃって・・・どうしても言えなくて・・・」


「だって、北斗君に知られたら絶対嫌われると思ったから」


「君が、ライラがどんな姿だって僕の気持ちは変わらないよ」


「でも北斗君はアイドル、私は異星人・・・どう考えたってありえないカップル

だよ」

「私たちは、何もなかったし、お互い出会うことなんかなかったんだよ」

「ただの通りすがり・・・」

「あの時、私たちは出会わなかったんだよ・・・それでいいんだよ」


「そんなの嫌だ・・・・俺はレイラを諦めないし別れるなんて認めない」

「この恋は終わらせない」


「北斗君・・・」


「分かった、じゃ〜俺も白状する」

「その話を最後まで聞いて別れるか別れないか判断して?・・・」


「実はね、俺も君に謝らなきゃいけないことがあるんだ」


つづく。

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