第9話:私、地球人になる。

北斗君とのデートから帰ると、さっそくウラがいろいろ聞いてきた。


「ねえ、どうだった?」


「どうって・・・別に・・・ディズニーランドってところへ行ってきた」


「まじで?・・・いいな〜ディズニーランド」


「ウラは知ってるの?ディズニーランド」


「そのくらいは知ってるよ」


「で、結局、私の正体あかせなかった」

「って言うか・・・もうあかせないよ」


「なにやってんのよ・・・取り返しがつかなくなるよ」

「もたもたしてて、気に入られたらどうすんのよ・・・」


「もう気に入られたみたい・・・」

「私のことが好きだって・・・彼女になってって」


「まじで?」


「って言うか、彼ってこう目がキラキラしてて・・・」

「笑顔が可愛くて・・・素直だし、優しいし」


「あ〜だめだこりゃ」

「おネエちゃん、もう、その人にいかれてるじゃん」

「正体がバレないうちに別れた方がいいって言ったのに・・・」

「じゃ〜いっそバレるまで付き合っちゃう?・・・」


「私、地球人になる・・・」


「なんか・・・どこかで聞いたことあるようなセリフ」

「俺は?海賊王になる?だっけ?」


「そんなことどうでもいいの・・・」

「地球人になれたら、なにも悩まなくていいじゃん」


「バッカじゃないの」

「そんなの無理に決まってるじゃん」


「いい方法がないかハルに聞いてみる」

「ねえハル、私が地球人になる方法ってない?」


「今の我々の科学技術なら不可能ではありませんが地球での整形手術は

無理です」

「地球にはそのような医学的知識を持った人はおりませんからね」

「可能にするには一度、母星に帰らねばなりませんね」


「擬似的にカムフラージュではいけないのですか?まあ、カムフラージュも

時間が経過すれば 劣化していきますけど・・・」

「もっともカムフラージュのほうは劣化しても、また再生すれば いいだけの

ことです・・・それなら、私でもできます」


「ですが今の所、地球人になることは無理です」

「ずえ〜ったい、無理でっす!!」


「そんなに念押さなくったっていいいいわよ」


「諦めたほうがよろしいかと・・・」


「今更、星には帰れないし・・・」

「劣化って・・・いつかは私が異星人だってバレる時がくるんだ」

「どうしよう・・・」


「お姉ちゃん、どっちみちバレるんだからそうならないうちにやっぱりに別れな」


「北斗君と別れたら、もう私はこの地球で誰とも一緒になれないまま歳とって

寂しく干しぶどうみたいんおばちゃんになってしぼんで死んでくしかないの?・・・」


「大げさ・・・」

「いっそ、バラしちゃって、向こうがそれでも好きだって 言ったら、

それはそれでよし・・・」

「ゲゲっって引かれたら別れたらいいだけのことじゃん・・・」


「え〜・・・だって私が、北斗君のこと諦められなくなってるんだもん」


「じゃあ、このままズルズル行って最終的に化けの皮がはがれるって

筋書きでジ・エンドだね」

「でも、でも・・・もしかしたらいけるかもよ、お姉ちゃん」

「私たち、向こう(星)では、可愛いって評判の姉妹だったんだからね」

「地球人の男にだって受け入れてもらえるかもしれないよ・・・」


「私たちの方が地球の女より個性的でいいと思うけどな」

「地球の女の子の中にはヤマンバとかギャルとかってのがいるから

イケるかもよ」


そう言ったウラは基本的に肯定派で楽天家。


「お姉ちゃん、いい方法がある」


「今度はなに?・・・」


「今の人間の姿が本当の姿で異星人の姿に戻った時、これはコスプレだって

言えば?」

「趣味がコスプレで異星人の格好してるんだって言っとけばいいじゃん」

「私、頭いいわ」


「あんたは楽天的でいいね」

「そんな漫画みたいなこと通用する訳ないでしょ?」

「私の本当の姿みて北斗君がビビって逃げたら私ショックだよ」


「おねえちゃんは心配性だよ」

「当たってくじけろ!!・・・ん?当たって砕けろだっけ?」


「ウラは、いいかげんなことばっか・・・くじめても、砕けてもダメなの」


どっちにしても、この問題解決しないと私は一生、地球の男性とは恋愛なんか

できないんだ・・・。

って言うか・・・私、北斗君を失いたくないよ。


つづく。

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