まごごろこめて

葉音

第1話



「 あの、汐音くんの事好きなんです」



地面を見つめた先は、バイト帰りのただのボロいジーパン。



少しでもお洒落してくるべきだったのかもしれないと思いはしたけど、まさか汐音くんと偶然会えるなんて思わなくて。




この日を逃したら二度と声を掛けることも無いだろう、そう思い黒いコートに身を包んだ軽く190cmほどある背中に話しかけた。




切れ長の瞳が私を視界に入れて、あまりの綺麗さにドキドキする。




ずっと見てた。


街中を歩いた彼は良くも悪くもその見た目で目立つ。その姿をいつも見てた。



いつかその切れ長の瞳が私を捉えてくれないか、ってずっと期待しては落ち込んで。



一方的な想いを寄せながら遠くで見てるだけで満足してたはず、だったのに。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る