〈28〉こんなイケメンほっておかない

月曜日からは次のイベントの準備と、新しい企画案を出すことになったので、ゆっくりランチもとれず、毎日遅くまで仕事をしていた。


もちろん、柘人たくと先輩も一緒にいてくれた。

「そろそろ帰れる?」とLINEが来た。

外で待ち合わせをして家まで送ってくれたり、時々外食をしたりして過ごした。


いつも出待ちしていたみな子さんの姿も、私の兄の姿もすっかりなくなった。

「最近、こしくんの彼女来ないわね」と周りはそわそわしている。


超美女みな子さんがいないとなると、こんなイケメンを誰もほっておくわけがない。

世のセオリーである。

やたらと用事を作って柘人先輩に話しかけたり、他の同僚を介して飲み会に誘おうとする女子が増えた。

もちろん柘人先輩は軽くかわしてるのだけど、先輩の誘いをむやみに断るのも大変そうだ。


「ねえ、守森さんて越先輩と仲いい?」

同期の美人女子が話しかけてきた。

「まあ、仕事を教えていただいてたので少しは。」と適当に返す。

「今度誘って皆で飲みに行こうよ」

「今、仕事がたて込んでて、どうかな。聞いておくね」と私。

「絶対誘って。お願いっ」と強烈だ。

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