Rising emotion【高まる感情】

hana🌸

登場人物相互紹介

・・・≪鞠谷 沙姫帆(まりや さきほ)≫

について、語る・・・


俺は、戸倉暁。鞠谷(本当は、『沙姫帆』か、

沙姫帆の『さき』で、彼女を呼びたいが、

呼ぶ事に、照れがあって、

今だ、声に出せないでいる。

今は、苗字で呼んでいるが、『鞠谷』も、

名前を知らない奴が聞いたら、

名前だと勘違いする様な苗字だと思う。)

鞠谷の性格は、一言で言うなら・・・

『かわいらしい』かな。

自分が、自分がと、積極的なタイプでなく、

照れ屋で、臆病で、自己犠牲力が大きくて、

自分を閉じ込めるタイプかな。

鞠谷の年齢は、俺と同じ25歳で、

俺達は、中高の同級生だ。

中学の時は、『鞠谷?あぁ、知ってるよ。』

その程度の関係だったが、

高1になって直ぐ、鞠谷に告白された。

最初は、『良い子だな』程度だったのに、

いつからか、鞠谷を知る度に、

鞠谷の魅力に取りつかれた様に、

俺は、急速に鞠谷に、惹かれていった。

鞠谷の気持ちは、口にしなくても、

顔によく表れて、分かり易かった。

俺は、鞠谷も俺が、口に出さない想いを、

理解してくれていると思っていた。

それは、俺の大きな勘違いだった。

鞠谷は、俺に、『別れたいと告げる』

俺は、鞠谷が選択した『別れを受け入れる』

暫くすると・・・鞠谷は、俺に、

『やっぱり、一緒に居たいと告げる』

俺は、鞠谷の選択した

『恋人同士の関係を受け入れる』

そんな状況が、高校生活を送る日々で、

何度か繰り返された。高3の卒業間近、

ちょっとした喧嘩から発展して、

俺は、鞠谷に、初めて別れを告げた。

俺の事を、考えて欲しかった。

まさか、それきり、

7年も待つ事になるとはな・・・・




・・・≪戸倉 暁(とくら あきら)≫

について、語る・・・


私は、鞠谷沙姫帆。戸倉君と同じ25歳。

中3のクラスメイトだった、

戸倉君を好きになったキッカケは、

太陽の様な笑顔を見た時だった。

胸がキュンと鳴って、ドキドキした。

私の告白を受け入れて、

付き合おうって言ってくれた時は、

本当に、嬉しかった。

戸倉君は、年齢の割に、大人びて、

自分の事は余り語らないから、

私の事を好きかどうか、分からない。

そんな不安が私を襲う。

『別れたい』『一緒に居たい』を、

繰り返す勝手な私を、受け入れてくれる。

そんなとこも、懐の深い大人だと思う。

だから、醜い感情を持つ自分が嫌だった。

戸倉君と喧嘩した後、告げられた別れを、

就職したばかりの私は、

受け入れられなかった。

届かない想いと、戻らない時を悔んでも、

戸倉君は、戻って来ない。

何度もそう自分に言い聞かせたけど、

想いは、7年も振り切れなかった。

戸倉君を忘れる為に、ちゃんと振られよう。

そんな想いから、手紙を書いた。

まさか、7年も待っていたなんて・・・・

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