アニマルとらんすっ!〜狼だなんて聞いてません!〜
天海 月
動物オタク
「...むふふ。次のページは確か、」
ペラリ
「...むふっ...ふふふふっ」
息を止め、人差し指でそおっとページをめくる。
スゥー...
「ぎゃーーーーーーー!!犬かわいい!可愛すぎるぅぅ!!
一生愛す!養う!面倒みるよおおぉーーーーーー」
ツヤツヤの毛並み、まんまるなお目々、思わず掴みたくなるようなふっさふさの尻尾、そして口元から覗く鋭い犬歯とあんよの爪。
その円らな瞳で見つめてくる可愛らしさとのギャップがたまらん!!
「ちょっと、まーた図鑑みて叫んでるの?うるさいわよ!」
思わず大絶叫したらおかあさんに怒られちゃった。
「ごめーん!でも犬がかわいすぎるのが悪いの!!」
ドアに向かってそう返すと、再び手元に視線を戻した。
へへへ、次はどの動物図鑑にしようかなー。
昨日は猫見たでしょー、一昨日は鳥でしょー、今日は犬見たけどまだ時間あるしー。
やっぱもう一回犬みよーっと!
「はあああぁぁぁかわいい!やっぱ動物といえば犬が」
「千夜!いい年して図鑑みて大声出すのやめなさい」
一階からまたもおかあさんの声が聞こえる。
げ、二回注意されちゃった。
三回言われたら私の図鑑2日間没収されちゃうんだよね。
さすがにそうなると困るので渋々図鑑を閉じる。
おそばせながらこの辺で自己紹介。
動物オタクやってます。
🐾
私の趣味は見て分かる通り動物図鑑を読むこと。
おかあさんのお仕事が動物のお医者さんで、幼い頃から犬や猫、インコにハムスター、時には出張で動物園に出向いてゾウやライオンなんかを見る機会が多くて。
はじめはただついて行って遠くから見てるだけだったの。
でも、いろんな動物を見ていくうちにこの動物はこういう鳴き声なんだ!
こんな動きをするんだ!ってキョウミが湧いてきて。
もっと知りたくて動物図鑑をねだったのが始まり。
それまでの私は何に対しても興味を示さなかったからすごく驚いたみたいで、すぐにたくさん買ってくれたの。
今では毎日のように図鑑をめくり、週末時間があれば動物園に通う、完全オタクと化してしまった。
けど、学校では引かれるかなって思って隠してるんだよね。
なぜかって?小学生の頃夜ふかしした日に理科の授業で寝ちゃってて。生物の問題を当てられたときにパニクってヨケイな知識まで答えたことがあったの。
そしたらなんと!次の日からクラスメイトにガリ勉だの変なコだの言われて。
卒業までの3年間誰も私と話してくれなかった。
だから、中学ではぜっったいヒミツにするって決めてるの!
小学校で無視されてたことはおかあさんにも言ってなくて。
女手一つで私を育ててくれたから変に心配かけたくないんだ。
絶対、クラスに溶け込んで平々凡々な中学校生活をおくってやるんだからー!
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