第24話 帰国

皇帝陛下は僕との約束通り、第一王子の王位継承権剥奪とエーデル王子を次期王太子に指名する事を発表した。


帰国の前に皇帝陛下やエーデル王子への挨拶として謁見の間を訪れる。


「お主たちが来てから色々とあったな。特に愚息の件では誠に迷惑をかけてしまった。あやつも流石に少しは反省したのか大人しくしておるよ」

「それなら良かったです」

「お主の言葉が効いたみたいだぞ?正直お主があやつに謝らせるように仕向けなければ、最悪の沙汰を下す事も考えねばならなかった。今更かもしれんが感謝する」

「何の事でしょうか?僕は周りに迷惑をかけたらせめて謝った方がいいですよ、って言っただけですし。それにこれからどうなるかは本人次第です」


もし心から反省して失敗を次に活かせるようであれば、やり直せるだろう。とある教会の“元聖女”のように。


だけど僕の弟は…まぁ今考える事じゃない。ツヴァイもフラゥ王国じゃ好き勝手出来ないだろうし、それこそ本人次第だろう。


僕が少し考え事をしているとエーデル王子が近寄って来て、僕の両手を握って頭を下げた。


「アインシュトラール王子殿下、折角来ていただいたというのに、本当にご迷惑をお掛けしました…」

「いいんだよ。隣国の帝国との外交は重要だからね。エーデル王子とだったら一緒に手を繋いで帝国と歩んでいけるって、そう思ったからさ。王国に挨拶に来るのをヴェスタと一緒に楽しみに待っているよ」

『勿論、私も楽しみにしています』

「ありがとうございます!落ち着いたらなるべく早急にお伺いしたいと思います!」


こうして皇族との謁見も終わり、僕たちは祖国への帰途に着いた。


移動も含めて10日程度の旅路だったけど、妙に久しぶりのように感じられる。それだけでも色々とあったって事だよね。


僕たちが王城の門を潜ると、真っ先に出迎えてくれた小さな姿があった。


『アインお兄様、メアお姉様!よくぞご無事で…お2人が居ない間、本当に寂しかったのです…』

「あー、よしよし。遅くなってごめんね、ヴェス。これから父上にご報告に上がらなければいけないんだけど、ヴェスも一緒に来てくれるかな?」

『私も宜しいのですか?はい、ご一緒致します!』


メアとヴェスを連れて国王の父上と謁見する。何日か僕が居なかっただけで少しやつれたみたいだ…。


「アインにメアウスよ!よくぞ無事に帰ってきた!先に届いた文を見る限り、色々とやってくれたようだが…」

「嫌ですねぇ、国王陛下?向こうから一方的に喧嘩を売られたのを極力穏便に済ませた結果ですよ?」

『…結果だけ見るとその通りかと』

「…まあ良い。それではヴェスタとエーデルフェルト第2王子との婚約についてだが…」

『えっ?お父様?私の婚約についてですか?』


ヴェスは明らかに初めて聞いたという反応だ。まさか父上、わざと話していなかったな?


「すまんすまん、話していなかったのはエーデルフェルト王子が可愛いヴェスタにふさわしいか、アインに聞いてからにしようと思ってな。その方がヴェスタも判断しやすかろう?」


やっぱり確信犯だな。最早婚約が既定路線になったし、ヴェスの説得も僕にさせようって魂胆か…。


『アインお兄様、エーデルフェルト様はどのようなお方でしたの?』

「ああ、民の事を思う心の広い男だったよ。それに僕よりは間違いなく顔は格好いいかな」

『そうだったんですね。でもお兄様のお顔と比べると、大陸中の多くの方がお兄様よりは見目がよろしいのではないでしょうか?』

「うぅ…ヴェス、それは言わないでくれよ…」

『ヴェスタ殿下。エーデルフェルト王子は貴方が敬愛しているお兄様とよく似ていらっしゃいますよ。それにエーデル王子とヴェスタ殿下が結ばれれば、国王陛下もアイン殿下にも喜んでいただけると思いますよ?』

『メアウスお姉様がそこまで言ってくださるのなら…私、エーデルフェルト様の元に嫁ぎます!』

「ははは…メア、ありがとう。ヴェス、今度エーデル王子が王国に挨拶に来るから、その時にまたちゃんと紹介するよ」

『分かりました、お兄様!』


こうして妹とエーデル王子の婚約話も無事にまとめる事が出来た。エーデル王子が王国を訪れるのが楽しみだなあ。

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