マジカルの10☆ローカル魔法少女だって負けない
〜語り手 ゆの〜
「あれは……
北海道支部の魔法少女!
にゃんこ少女のたまちゃん!」
大きなにゃんこ耳と長いにゃんこしっぽ。
お腹と肩が丸出しのトップスにおしりの形がくっきりしたスパッツ。
ちゃんと魔法少女っぽく衣装がキラキラしてる。
顔と体の前面以外はほとんどにゃんこのもふもふに包まれてる。
両手はにゃんこの手が大きなグローブみたいになってる。
なんてかわいいの!
魔法少女ランキングは10番以内だったかな?
煙と炎を上げながら迫り上がっていく核弾道ミサイルが一発。
その弾頭の上で丸まってる寝てる。
なんで!?
「発射されちゃったよ!?」
『ゆの! 爆発させないように叩き落とせ!』
「ええ!? ゆずりはちゃん、そんな無茶振りするの!?」
『作戦司令って言いなさい!
ミサイルの構造は勉強したでしょ!
現地の魔法少女も向かってる!
現場の判断でなんとかしなさい!
じゃないと火の海よ!』
『ゆずりはちゃんてぱ、もうちょいてぱ具体的な指示を出してあげてぱ……』
『作戦司令!』
てぱてぱと余計な一言で怒られてるのはルイちゃん。
航空管制全般を担当している電波少女。
通信や電子機器をあれこれ操る魔法が得意。
魔法少女のコスチュームはよく分かんないけど宇宙人ぽい。
「なんとかって言われても。
ミサイルの構造は、誘導制御をするところに推進装置に核弾頭と信管部分でしょ?
てことは弾頭を切り離せばいいのかな?」
『よく気がついた!
それでいけ!
ただし街中にパーツが落ちないようにしろ!』
「また無茶振りされた!?
発射口から飛び上がった核弾道ミサイルに向かう。
「要はミサイルを3枚におろせば良いってことよね!」
「その通りにゃ!
にゃにゃにゃ!
にゃんこのガリガリ爪研ぎにゃ〜!」
弾頭で丸まっていたはずのたまちゃんがおしりをフリフリしてにゃんこのようにジャンプ。
たまちゃんが両手を振り上げると、にゃんこのもふもふで巨大な手に変身。
飛翔するミサイルの側面ににゃんこの爪が振るわれると3つに切り分けられていた。
たまちゃんは切り分けたミサイルをぴょんぴょんと飛び渡って潜水艦に戻ってる。
すごい運動能力!
それはいいんだけど?
「バラバラになったミサイルが落ちてくよ!?」
「問題にゃいにゃ〜♪
下を見るのにゃ!」
言われた通り下を見ると3人の姿。
北海道南部を拠点に活躍するローカル魔法少女だ。
ミサイルの墜落地点に向かってる!
「愛の熱血マジカルオーバーシュート!」
「柔の道はマジカル背負い投げ〜!」
「マジカルネットでマジカルハント!
つ〜かま〜えたっ!」
サッカー少女のキックで炎を吹き出す推進部分が海に!
柔道少女の投げ技で誘導装置部分が海に!
虫取り少女の掲げた巨大な網が核弾頭をキャッチする!
「すごい!」
「にゃはは〜!
「うん!」
発射される二発目の弾道ミサイルを5人で処理してく。
「これなら大丈夫そうだね!」
『ミサイルは核弾道ミサイルだけじゃない!
油断するな!』
ゆずりはちゃんの指摘が遅いか早いか。
潜水艦の艦首から黒十字架が突き刺さった魚雷が2発発射されて大通りを破壊しながら突き進む。
「魚雷って地上でも進むの!?」
『悪魔憑きだ!
爆発する前に排除〜!』
「
たまちゃん! 魚雷を食い止めなきゃ!」
「にゃにゃ!?
正面に函館駅にゃ!
肉球にゃんこダ〜ッシュ!」
潜水艦の上部スレスレに飛行するとわたしの背中に飛び乗るたまちゃん。
「いくよ!」
「うにゃ〜!」
その時のわたしはまだ気づいていなかった。
さらなる激しい波状攻撃が展開されようとしていたことを。
〜語り手 しの〜
「おはようございます。
今日は大浴場でいいんですよね?」
ゆのを送り出したわたしは朝食前のお仕事をするために生活部清掃班の事務所を訪れていた。
「ゆのちゃん、朝早くからありがとさんね!
そうそう、大浴場!
今日は月に一度の大掃除の日だから人手が足りないんだよ!」
生活部清掃班班長のアメリアちゃん。
アメリカ出身の女の子。
とっても綺麗好きでどこでもピカピカにしちゃう掃除機少女。
掃除に使う道具ならなんでも使役できる。
魔法少女のコスチュームはメイド服っぽい。
黒褐色の肌に黒い衣装がキュートでかわいい。
「ゆのは出撃したんだってね?」
「はい。パジャマのまま箒に乗ってとんできました」
「あっは〜!
きっとみんなにパジャマ姿を見られて真っ赤になってるね!」
「あはは! ゆのはおっちょこちょいだから。
いまごろゆのは悪魔と戦っているところかな?」
事務所に設置されたモニターの前に数人の清掃班事務職の人たちが釘付けになっているのに気がついた。
魔法少女の戦いは大きな戦いを優先的にモニターで中継されることが多い。
「アメリア班長、大変!」
「しのちゃん!? しのちゃんも見なよ!
ゆのちゃんたちが大変だよ!」
「ゆのがどうしたんですか?」
「なんだろね?
ちょっと見てからでも大丈夫だから見てこうか!」
アメリアさんに手を引かれてモニターの前に移動する。
画面越しに見えるゆのの姿。
函館駅と書かれた建物の手前の交差点。
猫の姿をした魔法少女をかばうゆの。
爆発に巻き込まれて吹き飛ぶゆのの姿が目に映った。
「ゆの!?」
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