第17話
「きりゅーさん、みてみて!!」
桐生さんの運転する車でマンションに帰ると、護は保育園で作った工作を自慢げにお披露目する。
「おっ、今日もすごいの作ってきたな。ペットボトルの……これはなんだ?」
「てっぽー!!」
「……鉄砲か。あー……、なかなかリアルだな」
返答に困ってそう答えたあと、桐生さんは慌てて話題を変える。
「護は工作が好きなんだな?」
「うん!だいすき!」
「そうか。これからもたくさん作って持って帰ってきてくれ。護コレクションが増えるのが今から楽しみだ」
「いいのぉ……?」
桐生さんの言葉に護が驚いたように目を丸くする。
「いいに決まってるだろう。どうしてだ?」
「だって……」
護がキッチンに立つ私に恐る恐る視線を向ける。
「うちのアパートって狭いので、毎日持って帰ってくると置き場所に困るんですよね。大きな工作物は特に……」
「ああ、なるほど。それなら問題ない。使ってない部屋もあるし、なんなら護の工作置き場に部屋を借りてもいい」
「なっ、そ、それはダメです!!」
なんていう金銭感覚をしているんだろうか。弁護士の仕事ってそんなにお給料がいいんだろうか。
それとも以前極道をしていたときの貯金……?
持ち物だって私が見ても分かるくらい高級な物ばかりだし、このマンションやあの高級車を維持するだけだって大変なはずだ。
それでさらに部屋を借りる余力もあるなんて一体どうなっているんだろう。
「ってママは言っているが、ここは俺の家だ。いくらでも作ってきていいぞ」
「やったぁぁ!」
嬉しそうな護の様子に桐生さんまで頬を緩ませる。
でも、それ以上にだらしない顔をしているのは私だろう。
桐生さんの「ママ」発言に体が熱くなる。
真っ赤に火照る顔を見られないように、私は二人に背中を向ける。
「桐生さん、あんまり護を甘やかさないでくださいね」
「護のママはうるさいなぁ」
「ねぇー!」
「なっ!護はママの味方でしょ?」
振り返ると、護と桐生さんは目を見合わせていたずらな笑みを浮かべた。
山菱組の取り立てと良太のこと。問題は山積みだ。
……本当はこんなこと思ってしまってはいけない。
早く桐生さんと離れなくちゃいけない。
それでも、三人でいる間だけは今のように平和で幸せな時間に浸っていたいと思ってしまう私がいた。
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