第2話 無垢に夢見て生きていた中学時代

さて、中学時代から始めるとして、その時期のどの辺から始めるべきか。

・・・・・・あ! とりあえず自己紹介から始めましょうか。

私の名前は荒井俊介と申します。

この頃の私は・・・・・・ソフトテニス部に入っていましたね。で、この頃から人付き合いは決して得意な方ではなかったので、友達の殆どはソフトテニス部員でした。そうでないにしても『友達の友達は友達』みたいな感じで、ほぼ間違いなく、この頃の友達は全員ソフトテニス部員と関わりのある人でした。

で、そもそもの話、どうして私がソフトテニス部に入っていたかというと、小学生の頃にスポンジテニスっていう滅茶苦茶ニッチなスポーツをやっていたからです。その地続きでソフトテニスを始めたって感じなんですけど、この話を広げるのは蛇足が過ぎるのでやめておきましょうか。

あ、でもスポンジテニスのニッチ具合だけは。

手を挙げれば誰でも全国大会に出れるくらい、競技人口が少ない競技です。いや、でした。今はどうか知らん。

あとは・・・・・・。

ああ、この辺からYouTubeでホラーゲームの実況動画を見始めていましたかね。あれ?YouTubeってハッキリ言っちゃっていいのかな。あ〜・・・・・・Yチューブって言っときましょうか? そのYチューブでホラーゲームの実況動画を観ていました。

もちろんユー、違うYチューブの動画ってのは面白いから観る訳じゃないですか? だからこの頃はホラーゲームというか、ホラーってものをエンタメの1つとして消化していた頃ってことですね。重要なのはその点です。だからこれはYチューブじゃなくてもニコニ・・・・・・、あっ、N動画だったとしても別に問題はなかったです。

あれですね。なんかこれ、長くなりそうですね。もう少し巻きでいきましょうか。

それはそれとして、他に押さえてくべきは・・・・・・。

読書が嫌いだったってこと、ですかね。

長々と続く文字の羅列を見るのが辛いというか、ふとした瞬間にどこを読んでたか判らなくなるというか。我ながら集中力がないにもほどがある。

だから、読む本と言えば国語の授業の時に読む教科書くらいでした。

あとはゲームの説明書とか?

親からは新聞にも目を通しとけ、とか言われてましたけど、読める訳ないよね、あんなの。

ちなみに読書ってのは活字ばかりの本に限った話じゃなくて、漫画なんかもそうで・・・・・・。

これは今でもそう思ってるんですけど、漫画って読むの難しくないですか?

作者によっては漫画のコマの端の方まで小ネタだったり伏線だったりを盛り込んだりするじゃないですか。私、そういうのを見逃したくないタチといいますか、気になるもんですから、細かいところまで読みたくなるんですよね。

でもその一方で飽き性なところもありまして。

結局読み込み始めるより前にその漫画自体に飽きてしまう、みたいな。

だから結局、今読んでいる漫画もいわゆる『やおい系』ってヤツです。『ヤマなし』『オチなし』『意味なし』の頭文字をとって『やおい系』です。この解説いりましたかね? 今更知らない人の方が珍しいかも?

まあとにかく。私は読書が苦手だったんです。重要なのはその点です。

そんな私の興味を惹いた本がありました。

タイトル・・・・・・をハッキリ言っちゃうのは流石に問題かも判らんのでちょっとボカして『O探し』としておきましょう。

表紙の中、暗い室内で数人の子供が両隣の子の手を握って円を描くように座り込んでいるのです。そして全員が円の中央の方向を、要は子供同士向き合うように座っていると。なのに、なぜか1人だけ、後ろを振り向いていました。まるで誰かに呼ばれたかのように。

そんな絵の上におどろおどろしいフォントでタイトルが書かれているのです。

どう見てもホラーですよね、これ。どんなに楽観視してもこれはホラーです。怖そう。

だから、普通に考えれば読む人を選ぶタイプの本だったと思います。好んで怖い目に遭いたい人なんて多いとは思えません。それも中学生の時分であれば尚更です。

ところが。

当時の私はホラーをエンタメの1つとして捉えていた訳ですから、どう見てもホラーでしかない、その表紙が物凄く魅力的に見えたのです。

そうなれば読まない、なんて手はありません。

だからその本をどうにかして手に入れないといけないのですが、でも話は簡単で、その女子から借りればいいだけです。

これからは便宜上、女子生徒のことはBさんとしましょう。本当は苗字のイニシャルを取ればAさんなんですけど、私もAさんですし。


私「ねえBさん。その本って面白い?」

Bさん「面白いよ」

私「それじゃあ、読み終わったらその本貸してくれない?」

Bさん「いいけど図書室で借りた本だから、私が返した後に借りれば?」


的な会話があったような気がします。

まあそれはともかく、Bさんが図書室に本を返した後、速攻でその本を借りて読みました。もちろんBさんが返しに行くのに同行しましたよ。そうしないとBさんがいつ本を返すか判りませんし、他の人に借りられちゃうかもしれませんし。

そんなこんなで『O探し』を手に入れた私。早速読み始めました。

一気に読破していました。それくらい面白かった。

読書自体が苦手な私でも一気に読破できてしまえる程度に読み口が軽かった。

これは後から調べて知ったことですが、この本の作者は主に中高生から厚い支持を受けていたようです。当時の私も中学生。ピッタンコカンカン。

どうにもその作者の書く文章は、お世辞にも上手とは言えない代物だったらしく、かつ話の設定が突飛なものが殆どでした。

拙い文章と突飛な設定。この2つの噛み合わせがとてもよかったようで、中高生のようなまともな文章をたいして読んだことがない若年層からすれば、非常に読みやすい本として成立していたんでしょう。

確かに成人した今になって読み返してみると、まあ、なるほどなと言った感じ。上手な文章とは言えない感じ。なんというか、言いたいことは判るんだけど、その言いたいことをニュアンスで汲み取らないといけない場面がちょこちょこ入ってくる、みたいなね。そんな感じ。

まあ私自身、人にどうこう言える立場にはないと思いますけどね、その文章の上手か下手か、ってところは。

まあそれはとにかく、当時の私とってとても読みやすい本を書く、数少ない作家だったので、中学校にある同名作家の本はすべて読み尽くしました。初めて私立図書館にも行って、学校の図書室にはなかった本を読んだりもしました。

本を読む、というのは当たり前の話ですが、その行為のためにある程度まとまった時間を割かないといけません。だから私は授業間の休み時間とか、給食の時間とかに本を読んでいました。別に食べながら読んでいたんじゃないですよ? 給食をパーっと食べきっちゃって時間を余らせて、その時間に読むって感じ。

果たして、これだけ読書をしておいて「私は読書が苦手です」なんて人に言って信用してもらえるかどうか。

この頃には読書という行為自体が習慣化していました。

読書に対する姿勢が変わっていたんです。

これは今でもそうなんですが、私、相当単純な人間です。

散々毛嫌いしていた読書にこれだけ打ち込むようになると、単純な私は至極当然、ある職業に対して憧れるようになるんです。

もちろん、それは作家。

・・・・・・なんか、こうやって自分の人生を振り返ってみると、やたら遠回りしてきなたあ、って感じがしてしまいます。

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