第2話 旅立ち!

馬車が停まったのは門の外、もう戻る事はできない様だ。

騎士隊隊長さんが先に降りて、俺執事さんの順、絶対逃げられない体制みたい!


「ではグレバドールお坊ちゃん、これでお別れです、10年間楽しかったですよ!早々、これをお持ちください」

渡されたのは小袋、中を除くと金貨や銀貨が見える。


「若い子達は、坊ちゃんの偉大さが分かって無いようで先程は失礼しました。

お詫びに少し餞別を用意しましたよ、まあ彼らの1月分の給料ですので慰謝料です」

そんな勝手に、従者達の給料を俺に渡して良いのか?


今度は騎士隊隊長さんが話しかけてくる。

「私も何かを贈ろう思いましたけど、何分時間が無かったので、これをお持ちください」

騎士隊隊長は腰にある剣を俺に渡してくる。


「これは貴方が隊長になった時に、お父さんから下賜されたものですよね、そんな物は受け取れません」

「まあまあこの先は何処に行くにも魔物や盗賊もいる道、少しでも頑張って生き残って欲しいです。

そしてまた此処に戻る時は、それ以上の剣を私に頂ければありがたい、そして新たに忠誠を誓わして欲しい、そうだ後はこれもどうぞ」

着ていた軽武装の胸当てと脚当て、肘当てを受け取る。更にはテントと毛布にリュック?


「早く出世してそれ以上の物を返してください、それは貸です!」

俺はもう2度と此処には戻れないのに騎士隊隊長は返しに来いと!


「全く旦那様は、武道しか興味なく、剣聖や達人ランクで無いと坊ちゃんに納得できない様でした、奥様さえいればこの様な事は無いのに」

お母さんは妹と王都に旅行に出掛けている、帰ってくるのは俺の成人の義の何日か前と言っていた。


「それではグレバドールお坊ちゃん、名残惜しいですけどお別れです」

「そうだな……とっとと消えろ小僧、2度門を潜る事は許可しないと領主様の通達だ!」

隊長が言った後に周りの騎士達が、剣を抜いて俺を威嚇する、本当にお別れみたいだ。


「分かったよ、此処でグレバドールという名を捨てる、今度会う時があれば俺の名前は変わっているだろう、では爺、隊長達、達者でね」

俺は反対側を向いて走り出す、もうこの領も、国にも居られない、隣領を抜けて隣の国に行こう、1ヶ月も歩けばきっと着くはず。


馬車にも乗れず、兎も角走って遠くに行く、遥か彼方に領門が小さくなる。


男の子1人どうにかなるよねきっと、それと分かっている「缶詰』スキル、

親父に殴られて、床に頭を打った時に、前世の地球の事が蘇った。


恐らく、この世界でも俺だけが持っていて使えるスキル!


絶対に物にして生き残ってやる、商人でも料理人でもこのスキルがあればどうにかなるはずだ!










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