第3話 初めての強敵
Play国の城に到着したジョルジョバは、早速Playに現在の状況を伝えに行った。
「おいPlay、大変だ。てるみやの軍勢がもうこの国まで来てる。」
「マジか...予想を上回る早さで来やがったな。まあ、お前のiPhoneソードにかかれば大丈夫だろう。」
その瞬間、脳内に嫌な予感が横切った。今まで会ったてるみやは確かにiPhoneソードで一撃だ。ただし、もしこの事が集団の幹部に伝わっているとしたら、奴らはもっと強力な敵を用意するだろう。全く要らないプレゼントだが、そうなってしまったら受け取る以外手段はない。結局、少し自信なさげに頷いた。
頷いた数秒後に、思っていた『嫌な予感』というのが的中した。外で爆発音と人々の叫ぶ声が聞こえる。
「ちょっと見に行ってくる。」
躊躇なく城の外へ行ったが、どうやらそれは間違いだった。暗い空。周りがこの世とは思えない位、黒で包まれている。強敵が迫っているのがすぐに分かった。
「よお、ジョルジョバ君。」
その声は野太く、まさに『悪役』の肩書きが似合うような声だった。
「誰だ!」
「我の名は夜てるみや。よくも俺の部下たちを殺ってくれたな。」
「いや、それはお前らが攻撃してくるから...」
そんなことを言う暇もなく夜てるみやは不意を突いて攻撃してきた。黒い球のようなものである。何とかかわせたが、当たったらどうなるのかは大体予想がつく。
「ちっ。当たると思ったんだけどな。」
「ただし油断するなよ?わざわざこの夜の時間帯に来てやったのは意味があるんだ。そう...俺は夜になると最強なんだよ。」
夜てるみやはそう言って自慢した。そのタイミングでPlayも様子を見に来た。
「どういう状況?・・・うわあああああああ!!」
Playは一瞬で夜てるみやの黒い球で消されてしまった。
「嘘だろ?あのPlayが...」
PlayはiPhone14を持っていて強いはずだ。それなのにPlayが負けた?本当にこの化け物は強さが段違いのようだ。iPhone如きでは勝てない。それにしても、起こっていることの情報量が多すぎて、脳内で処理できなくなっていた。
夜てるみやは悪魔的な笑みを浮かべてこう言った。
「次はお前がこうなる番だぞ、ジョルジョバ君。」
ここで普通は恐怖を感じると思うが、何故か『この勝負は勝てる』と思った。実は、少し前にPlayから教わったちょっとした技があるのだ。
「面白いものを見せてやろう。」
― 技・ダークネス
夜てるみやはそう言って何処かへ消えてしまい、辺りは今までの比にならない位暗くなった。自分の足元すら見えない。そんな中ただひたすらに猛烈な痛みを感じている。どこからこの痛みは来ているんだ。まさか、あの黒い球...?
「・・・まだ死んでいないのか。驚いたな。」
「ああ。かなり痛かったが、今度は俺のターンのようだな。」
どうやら相手は俺のことをかなり舐めているみたいだ。たぶん、どうせまたiPhoneを投げてくるだろうと思っている。表情がそれを物語っている。ただし、今度は弱っちい攻撃をしない。一発で決めてやる。
「なんだ?その弱そうな剣は。さあ、早くかかってきなさい。」
やっぱり舐めている。
「おまえ、後からやめてくださいはナシだからな?」
「ふん、鼻で笑ってやるわ。」
― うおおおおおおおおおお...
こうやって技を出すのは少し情けないというかダサいが、倒せるなら見た目なんぞどうでもいい。そうするうちにiPhoneソードは段々光を帯びていく。光が充満したとき、それはチャージ完了の合図だ。
「俺は少し前とは違うってことを、実験体になって分かってもらおうか。」
― 奥義・波動零式
この技を発動した瞬間、真っ暗だったはずの辺りが一瞬、光の世界に変わった。そして、気づけば夜てるみやを鋭く斬っていた。
「き、切られている?嘘だ、そんなことはあり得ない!!まだ俺は死ねないんだ!!」
「うわあああああああああ!!」
そして夜てるみやは息絶え、辺りに普通の世界が広がった。初めての激戦で全身が痛い。恐らく、あの訳の分からない黒い球に当たった所為だ。早く町へ戻って、一刻も早く休息を取らなければならない。
それにしても、Playが死んだ影響は大きかった。国王がいなくなったのもそうだが、結果的に国を守る人が自分しかいなくなったのだ。今の自分は確実にPlayよりも強い。だが、この先どうするかが問題点だ。そもそも、何故謎の集団に追われているのかも不明だ。こうなるはずではなかったのだ。
― 一方その頃・・・
「何っ!?夜てるみやまでもが殺されただと!?忌々しい。いや、待てよ?次は“アイツ”を利用してみるか。これはうまくいくぞ。待ってろよ、ジョルジョバ・・・」
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