機械と人間
minonライル
1章
第1話 機械と人間
——最近になって「機械、もしくは人工知能」が急速に発展を遂げていることについてどんな意見をお持ちですか?
——そうですね。一言で言えば「便利な一方、脅威にもなりうる」といった感じですかね。
——つまり?
——使う側が正しく理解をして使用しないと、アンドロイドは脅威になるということです。
——ありがとうございます。アンドロイド評論家のウィルソンさんに、「今後の機械の在り方」という議題でお話を伺っております。チャンネルはそのままで。
「——おい、ロン!一体いつになったら部屋の掃除をしてくれるんだ!?」
「はい、すみません。ちょっとソフトウェアの異常を確認していました」
「はぁ……ったく」
——20XX年。「アンドロイド」と呼ばれた機械(人型人工知能)は、全世界で急速に発展を遂げ、今では一家に一台あることが当たり前の世界になった。
アンドロイド製作所である「サイバー・エアリー」は、様々なアンドロイドを制作することに成功した。
家事だけをするアンドロイド。子守アンドロイド。食事提供、運転手、建築、監視役、ボディーガードなど。
全てと言っていいほどの職業にアンドロイドが使われ、人間の出番というものは昔に比べかなり少なくなってきたと言える。
——それは良いことなのか。それとも、悪いことなのか。
全ての問いに答えがあるわけではない。場合によっては、自分で答えを探し、それを信じて進むことだって必要だと言える。
——たとえそれが間違った方向だとしても。
人間と共存する世界になるのか。はたまた、アンドロイドに支配され、人間が奴隷として扱われる世界になるのか。
答えは、人それぞれである。
「——こんにちは、エマ」
「よく来てくれましたね、ラート」
「ええ。お話があると聞いて」
「少し散歩をしながら話しましょう」
場所——サイバー・エアリー 中庭
「今回の任務についてですが、アンドロイドがなぜ暴走をしているのかを突き止めることです」
エマ―—サイバー・エアリー上研究員 5年ほど前に就任後、ラートを作成した人物
「……2年前の、事件ですか?」
「そうです。2年前、一部のアンドロイドが突然プログラムされていない言動を取り、当時32歳だった男性をキッチンにあったナイフで殺した。その後逃亡し、行方が分からなくなっています」
「……」
ラートは歩みを止め、少し考えるようにあごに手をやる。
「あなたは、私が最初に作成した任務遂行アンドロイド。YR300。プロトタイプなんですよ」
「ええ、分かっています」
「この後、警察の方に配属手配をします。くれぐれも任務を失敗しないように」
「はい」
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