バカ発見機
ある心理学者が、賢い人を発見する機械を作った。
シンプルな機械だ。「バカ」と「かしこい」の2つの目盛りがあって、センサーを人に向けると、その人がどちらかを判定して、針が一方に傾く。
科学業界のみならず、社会全体が大騒ぎになった。政治家、科学者、医者、法律家、起業家、芸能人など、様々な業種の人間がこぞって研究所に押し寄せ、自分が賢いことを証明しようとした。
しかしこの心理学者は間もなく、大バッシングを受けることになる。この機械はピクリとも動かなかったのだ。
センサーを誰に向けても、針は「バカ」に向いたまま止まっていた。政治家や芸術家が試していたころは皆笑って済ませていたが、将棋の名人や有名な学者が「バカ」と判定されると、誰も結果を信じなくなってしまった。
さらに悪いことに、これを作った心理学者だけは、「かしこい」と判定される唯一の例外だったのである。
このため、この機械は「バカ発見機」と呼ばれるようになった。少なくとも一人、バカな心理学者を発見できたからだ。
この心理学者は死の間際までバカ発見機の設計の正しさを訴え続けたが、当然誰も聞き入れなかった。
バカ発見機が間違っていなかったことは、後に証明される。だがそれは、宇宙人が極秘裏に地上に飛来して、この先進的な機械を押収した際のことである。
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