第2話

「誰もきてないか?」



 年配の方が、手を休めずに尋ねる。


 あまり時間をかけないように、けれど迅速に事を為しながら。



 「ああ」



 若い男は振り向きもせずに答える。



 お互いの仕事で邪魔にならないための役割分担をきちんとこなす必要性があるからだ。





 事前に二人は監視カメラの位置を事前に調べあげていた。




 調べるのはこの一帯のみなので、たいした時間は要さなかった。



 最近の監視カメラは丸型で円盤のようなものだが、実はここは死角となっている。




 防犯対策のミスか、はたまた手抜きか。



 どちらにせよ、二人にとっては好都合だった。




 二人は当初、店側の罠かと冗談を言い合っていた。


 それほどまでに侵入が用意だと。




 そして今。

 簡単だからこそ、こちらの人為的なミスがないように慎重に行動している。




 闇と光が交差するこの場所で。



 年配の男は静寂な中で自分の呼吸音と鼓動を感じながら、手を動かす。




 やがてカチャッ…………と音が響いた。



 そしてこのときようやく、二人の目があった。

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