第113話

修綺からあたしに何かお願いすることなんてなくて――…



あたしが思ってるより、修綺はあの事を気にしている。




あの夏、間違えた恋愛をした事を。




「…修綺」


「ごめんな。不安にさせて、嫌な気持ちにさせてごめんな」




そうだ、修綺は優しい人で。



本当はすごく優しい人で、あたしを大切に想ってくれていた。




…会いたいと言った時も、来るな、なんて言わなかった。



遠回しに断られたんじゃなくて、あたしの意見を聞いてくれてたんだ。




あたしの意思を聞いてくれてたんだ。



なのに、あたしは勝手に誤解して。

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