第9話

――理由は、彼に中学の時から好きな人がいると言われたからだった。





「…あのさ、」



部活が終わって後片付けをしていると、彼が近付いてきた。



「何…?」


「えと、アイツら…最近来ない…よな」


「…あ、うん」


「もしかしてさ…辞めた…?」


「……まぁ、うん」




いずれ分かることだし、隠せるわけもないし素直にそう言う。




「あー…そっか」


「……」


「…俺のせいだよな」


「……」


「ごめんな…」




わざわざ謝る彼。



彼は悪くないのに。




好きな人がいるんだから仕方ないのに。

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