第20話

卒業式の日。



「―――ごめん。」



式の直後、里香に体育館裏に呼び出された。



「・・・大丈夫。分かってた、から。」



大きな瞳いっぱいに涙を潤ませ里香は言った。




里香に、好きだと言われた・・・。




「野原君は、言わないの?」



更に驚く事を口にする。




里香が広輝を見ていたのだとすれば、気付いていたのだろう。

広輝が唯子を見ていた事を。



広輝は何も言わず曖昧に笑った。







唯子とは写真を撮らなかった。


残してしまえば、忘れられなくなる・・・。


唯子への想いは、全てここに置いて行く。













こうして、誰に告げる事も無く広輝の初恋は終わった。

1ページにのみ、その跡を密やかに残して・・・

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