第9話

「なんだよ。ユイのやつけっこー可愛いじゃん。もったいねー。」













『――――ユイコって可愛いよな』











広輝は笑うのをやめた。


突然、少年の声と頭の中に響く声とがリンクした。









(ああ。それで、思いだした・・・)








先程迄の思い出せそうで思い出せない何かが急に鮮明に色付く。



(そんな事もあったな・・・)








この地方に住んでいたあの頃、広輝も目の前の少年達の様に、昇華し切れない想いを抱えていた。





今思い出すと恥ずかしく、微笑ましい。


それでも、当時は一生懸命だった。





(懐かしいな・・・)










あれは、中学3年生。



広輝の初恋も彼等と同じくユイコ、と云う名の女の子だった。

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