第51話

「え・・・ちょ、和泉!?」



「あ。タクシー来た。」




掴まえたままのあたしの手を引きながら反対の手を挙げて車道に向かって歩き出す。




「和泉!?」



「何?」



「何じゃないわよ!!何いまの!?」



「何って・・・分からなかった?キスだけど。」




そんな事、聞いてない。




「何なの!?いきなり!!この変態!!」



「なんだよ。"乙女の夢"叶えてやったんだろ?」



「は!?」




又強引に腕を引かれて近づく距離にビクリとして、今度はぐっと目を瞑った。








「水澤。オレにしろよ・・・。」









耳元で、低く響く、声・・・。





その声が孕む切なさになんて、気が付きたくなんて無い・・・。

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