第43話

「・・・本当に、和泉は優しいよね。」




笑いが収まってきた頃に、ポツリと零す。




「うるせーって!」




まだ冗談を言っていると思った和泉は怒ったように言い返す。


こんな調子だから、あたしが少し素直になれるんだ。





「・・・いつも、ありがとう。」




友達にこういう事を言うのは照れ臭くて、視線を背けたまま言えば、和泉の驚いた様な視線を感じた。




「・・・らしくねーよ。」




たまにはね。


なんて言葉は今は辞めておこう。




嘘だよ。


なんて冗談も、今日だけはやめておこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る