第44話

けれどいつまでもこの空気はなんだか恥ずかしい。




「けど好きな子にはもう少し強引な方がいいと思うよ?」



「・・・しつけーな。」




パッと笑顔を作って言えば和泉は呆れた様な顔をした。



"さっきまで泣きそうだったくせに"なんて目は言っている。




「和泉の為に言ってるのに!!」



「はいはい。じゃあどんなんがいいんですかー?」




更に絡めば諦めたらしい。



いい加減な質問だ。




「そーだなー。強引にキスされて『オレにしろよ。』とか?」




浮かれてそう言えば酷く残念そうな顔をした。



「ドラマの見過ぎ。それ普通にやったら変態だろ。」



「乙女の夢でしょ?いい男なら許されるのよ!この草食系男子!!」




本当に、和泉に足りないのはそういう強引さだと思うのに。


あたしのナイスな助言をあっさり却下するつまらない男。




草食系の常識人はこれだから困る。


変態だって思われないくらいいい男になってみなさいよ。

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