本作は「言語化」という行為をテーマにしながら、単なる批評では終わらず“言葉の功罪”を詩のように描いた作品です。
読み進めると、私たちが日常で当たり前のように使っている言葉が、どれほど世界を形作り、時に壊してしまうかが浮かび上がってきます。
難解な哲学を語っているようでいて、実はぐっと身近な話でもあります。
「わかってほしいのに伝わらない」
「言葉にした途端、本質から遠ざかってしまう」
そんな経験のある人なら、きっと胸に響くはず。
文章はすっと読めるのに、後からじわじわ効いてくるタイプ。
言葉を愛する人こそ、沁みる。そんな一作だと思います。