第5話

するとアパートの一階の自宅から、大家のばばあが出て来やがった。


白髪を真紫に染めている。



「ちょっと~ヤマダさん、今月もお家賃、引き落としできなかったんだけど~」



すいませんねぇ、会社が不況で給料の支払いが遅れてるんすよ。



「あら~困るわ、私とヤマダさんの会社は何の関係もないもの」



気味悪くしなを作る。カマトトぶりやがって、煮ても焼いても食えねえ婆さんだ。



もうちょっと待ってもらえませんかね?



「明日までね」



えっ



「明日までに払えないなら、出て行ってちょうだい。」



小狡く目を輝かせて大家は権力で、俺の面をひっぱたいた。



俺は頷くしかない。



しかし酒が俺の口をすべらせた。



「うるせぇんだよ」



「この紫ばばあがっ」



大家は顔面蒼白になって怒り、金魚みたいに口をパクパクさせた。



俺は今日初めてスカッとして笑いが出た。



「このロクデナシがぁっ💢出て行けーっ」



ばばあの絶叫も、蚊に刺された位にも感じやしねえ。

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