② 対談冒頭

 舞台は、イタリアのとあるAMラジオ局のブース。林美⾹と古⽥百海(ももみ)が席についている。


 2⼈とも、緊張している様⼦は全くない。まもなく、番組が開始する。




 なお、対談中は原則として、2⼈はイタリア語で話している。




 マイク等の微調整を⾏ったあと、2⼈は本番前のリラックスのために、軽く会話を交わす。



【美香】

 いよいよね! 2⼈で真⾯目な話をするのは、初めてかもしれないわね。



【百海】

 そうね。でも、今回も雑談になってしまったら、どうしよう。



【美香】

 別にそれでもいいじゃない。「センチMENTALLクラブ」には、しゃべったことを正直に報告しようよ。何だったら、この対談、録⾳しておく?



【百海】

 ⼤丈夫。今回はちゃんと覚えておくから。



【美香】

 そっか。本番でもこんな感じで、話せるといいわね。



【百海】

 そうね。いつも通りでいこうね!





 そこに、スタッフの声が響く。


「本番10秒前!………3、2、1。」




 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★




【美香】

 みなさん、こんにちは! INK第1放送、時刻は14時になりました。「こころのダイアローグ」の時間です。パーソナリティの林美⾹です。


 この番組では、毎回、「こころ」に関連の深いゲストをお招きして、お話をおうかがいしていきます。


 時間が限られておりますので、早速、本⽇のゲストをご紹介いたします。


 イタリアンレストラン「ベル・パエー ゼ(Bel Paese)」の副店主であり、私の⼤親友でもある、古⽥百海さんです。


 古⽥さんは、私と同じく⽇本⼈。幼いころに、不慮の事故から脳の病を患われ、闘病しながら⽣活してこられました。


 今から約5年前に、ご主⼈とともに、イタリアに移住。ご夫婦で「ベル・パエーゼ」を経営されています。


(百海に)


 百海ちゃん、よろしくお願いします。



【百海】

 よろしくお願いします。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る