第4話 もう禁止ね

俺たちの『罰ゲームじゃないキス』から数日後。


学校が終わったあと、俺はまた華乃と待ち合わせをしていた。


駅前で華乃を待っていると、向こうからいつもの可愛い笑顔で走ってくるのが見えた。


「輝人!お待たせ!」


「ううん、俺も今来たとこ。」


そんな定番のやり取りをしながら並んで歩き始める。この距離も、手を繋ぐのも、もう自然なことになってた。


でも今日は、いつもよりちょっと緊張してる。


俺には、ずっと言いたかったことがあったから。


「華乃、今日さ……ちゃんと話したいことがあるんだ。」


「……え?」


華乃が驚いた顔をして立ち止まる。


俺もつられて立ち止まって、真剣に華乃の瞳を見つめた。


「俺、華乃のこと、好きだよ。……もう、罰ゲームとかじゃなくて、本気で。」


一瞬、時間が止まったみたいだった。


華乃は目を丸くして、何か言おうとしたけど、うまく言葉が出てこないみたいだった。


でも次の瞬間、ふわっと微笑んで、少し涙ぐんだ顔で言った。


「……知ってたよ。」


「え……?」


「輝人の気持ち、ずっとわかってた。でもね、私も同じくらい輝人のこと好きだから、言われるの待ってたの。」


「……まじかよ。」


俺は拍子抜けして、でも嬉しくて、思わず笑ってしまった。


「じゃあ、もう罰ゲーム禁止な。」


「うん、禁止。」


華乃は笑いながら、そっと俺の手を握ってくれた。


——"罰ゲーム"から始まった俺たちの関係は、もうとっくに本物だったんだ。


これから先も、ずっと一緒に笑っていける気がした。


終わりじゃなくて、ここからが本当の始まり。

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