荒廃した世界で、ヒロインに会う
青色の、自分が今乗ってるのは、バギーというのか?
何というか、バギーにしてはもっと丸っこい……
そう思ってたら、わかりやすく『ハイエース』だか『アルファード』だかの、沢山載せられるわかりやすい家庭用車に、目の前のというか今自分が乗っている車が変形する。
ニチャニチャと変化した気持ち悪さと『ハイラックス』が良かったなぁと思いつつ、かっ飛ばされる。
そして、やっぱりだ!
ピピピピピピ……びー!
というピピピピ電子音と共に、目を瞑ると全自動で自分達の走ってる車にロックオンされる。
「今! 右に避けて!」
どがーん!
でかいこの車の横っ面が揺れるぐらい、すぐ左隣で砂埃が舞う。
「次は!? 次はどっから来る!?」
知るかよ劣等種!
自分には『見る』事しかできない。
目を瞑ると、動画が見えるのだ。
今は何もない砂しかないのに、くねくね酔いそうな運転するゴミ人間の車の左の横っ面に、ピピピピ電子音と共に黒い円形だけが5〜6個重なって、そして……
びー!!
どがーん!
「ひゅー。二発目は流石に無理だったなぁ」
左からくるとわかっていれば、車を捨てて屋根からジャンプして避けるしかないな。
車と、その運転手は再起不能だろうが、知ったこっちゃない。
チラッと顔も見たし声も聞いたが、自分の人生に必要もなさそうなモブだった。
しかし、この後は砂漠を延々と歩かなきゃ、だ……
とでも思ってるのか?
自分はニヤリとしながら、もうターゲットがいなくなって、残骸にピピピピを続けてる黒い円の一つに、足早に近づく。
ピピピピピピピピピピピピ
「一つだけだとなんもできねぇみたいだなあ、役立たずメカくんや」
自分はメカには優しい。
ルンバは大事に使うし、掃除機も洗濯機にも『おいおい、もうちょっと頑張ってくれや〜』とか声かけてはいる。
しかし、優しいのは、あくまで『自分に逆らわない機械』だけだ。
土に埋まるアサリが口なんだか貝柱なんだかわからん場所をにゅっと出してるみたいな、そこをがっ! と掴む。
「!! びー! びー、び!! びー!」
モールス信号みたいな知らない人には不規則な、でもメカどもには意味があるらしい言語をわめく固定砲台の1匹分君(こてーほーそのいちと呼ぼう)を土の中から引き摺り出した。
どうやら、目玉はまた別の部分にあるらしい。
「しかしなぁ、ちょっと防衛がガサツすぎんか? 自分が『こてーほーその1』を持ち上げてる時に、他ので狙って撃つをしなきゃ。いくら何でも設計ミスだろ」
【問題ありませんよ? 我々はあなたを待ってましたから】
来たきたー!!
どうやら、この夢は、救世主になりたい症候群を満たしてくれるらしい!!
とりあえず、たーっぷり時間をかけてカッコいい決め台詞を用意してから振り向こうと、まずはゆっくり立ち上がり『こてーほーその1』をぼすっと土の上に落とす。
そして、ここはやっぱり『シャフ度』だよな首を傾げたまま、振り向く。
「こちとら、簡単に満足させられるような……安い人間じゃないぜ?」
いつの間にか、すごい近くにいた【彼女】は? とやっぱり意味わからなそうにした。
【簡単です、人類が困ってる砂嵐を、消す機構をあなたが……】
「おおっと、いきなり説明とはなぁ。粋じゃないねぇ。野暮天かい? あんた?」
ちょっと、自分のキャラが掴めない。
やばいなぁ。
これ、初対面でカッコつけすぎて、後で恥ずかしくなる奴だ。
大学デビューして、友達欲しくて万能インムゴロクで会話してたら、最初はウケたけど、後々後輩とか出来た時に『あいつはインムキャラ』みたいな立ち位置になって死にたくなる奴だ。
【確かに、そうですね。名前でも呼び合いますか……ねぇ『 』】
あっ! これは名前入力画面だな!
えっと、とりあえずデフォは無いのか?
【金貨珠玉ですね】
が、モタモタしてたら、もう決まってた。
猶予短いよ!!
【『金貨珠玉』は、こちらを何と呼びますか?】
えー、むずいなー。
てか、自分の名前も、カクヨムの登録ネームじゃん。
【わかりました『カクヨム』はこれから『金貨珠玉』と行動をともにします】
決まっちゃったよ!!
まぁいいや。
自分の理想の姿の、黒髪ロングの女体メカ『カクヨム』ちゃんにすっ、と右手を差し出す。
「自分が、君のターミネーターだ、よろしくな」
【?? 言ってる意味が……まぁ、握手、ですか? はい。よろしくお願いします】
びゅー、と風で土埃が立つ。
二人の影が、第三者目線でフェードアウトする。
あー! さいっこう!
永遠に続け!
と思ってたら、目が覚めた。
自分ミーツガール! 物語の基本だろ?
あー! 続き気になるわ〜。
でも、大抵楽しいのはオープニングだけで、あとはゲームが難しくてクリア出来ないんだよなぁ。
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