第13章: 少しの奮発と次の一歩
翌日、カイルとティアは、ギルドの掲示板を見ながら、次に挑むべきクエストを探していた。しばらくの間、二人は冒険を楽しみながらも、次第に生活費に不安を覚えるようになっていた。ギルドの報酬で得たお金は、想像以上に早く減っていき、思いきって新しい装備を手に入れたとはいえ、それだけではすぐに底をつく。
「新しい装備、ちょっと奮発しすぎたかな…」カイルがちょっとした不安を口にした。
ティアは無邪気に笑って、「でも、カイルの装備かっこよくなったよ!私も、ちょっとだけ奮発して、おしゃれなの買ったし!」と答えた。彼女はすでにその新しい装備に満足している様子だったが、カイルは内心で少し気が引けていた。高い買い物をしたわけではないが、現状では予想以上に金銭面に余裕がなくなってきていたからだ。
「まあ、でもお前が満足してるならそれでいいか。」カイルは苦笑しながら言った。
「うん、カイルもそれで満足してるって言ってくれたし、なんか嬉しい!」ティアは再び嬉しそうに笑った。
カイルもその笑顔に少し心が和らぐのを感じる。しかし、現実は甘くない。どれだけ冒険を続けても、報酬が安定しない以上、生活を維持するためには次の一手を打つ必要があった。
「でも、このままじゃまずいな…。」カイルは少し考え込むと、再び掲示板を見上げた。
その時、目に入ったのは「簡単なクエスト」の掲示だった。内容は、街の周辺に現れる魔物の駆除や、採取に必要な道具の収集といった、いわゆる手軽な内容だ。しかし、報酬は少ないが、安定してお金を稼ぐためには今の二人には最適だとカイルは思った。
「ティア、これにしようか。」カイルは掲示を指さした。
ティアがその掲示を見て、「簡単なやつだね!でも、やるなら早くやろう!お腹もすいてきたし!」と元気よく答える。
カイルはその返事に安心し、少し気を引き締めると、「うん、すぐに行こう。」と言い、二人でクエストの詳細を確認し、早速出発することになった。
簡単なクエストだとはいえ、気が抜けない。二人は手際よく街を出発し、目的の場所へと向かって歩きながら、改めてお互いの装備を確認し合った。カイルは新しく手に入れた剣に手をやり、ティアは軽やかなブーツを見下ろして笑顔を見せる。
「うん、これなら大丈夫だろ。」カイルは自分に言い聞かせるように言いながら、また足を速めた。
ティアも「うん、私も準備万端だよ!」と、いつものように元気いっぱいだった。そんなティアの姿に、カイルは思わず微笑む。
しばらく歩いていると、二人は目的地に到着した。目の前には、すでに少し荒れた森の入り口が見え、その先にはクエストの対象となる魔物たちが潜んでいることが予想された。
「これで、少しでも生活が楽になればいいな。」カイルは心の中で呟きながら、しっかりと構える。ティアも隣で、準備を整えていた。
「それにしても、カイルと一緒だとどんなクエストでも楽しいよ!」と、ティアはまたはしゃいでいる。
カイルは照れくさそうに「俺もだよ。」と言いながら、足元を確認する。
まだまだ、二人の冒険は続く。そして、それを支えるための「簡単なクエスト」ではあったが、確実に二人の絆を深めるための一歩となるはずだった。
そして、次の一歩がどんなものになるか、それはまだ分からない。だが、少なくとも今はお互いを信頼し、共に戦い、そして一緒に未来を歩んでいこうという思いが胸の中にしっかりと根を張っていた。
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