第25回『後宮庭師のもののけ祓い』(2025年8月~9月開催)反省会

 第25回書き出し祭り。


 今回は、節目の記念回ということもあって、パートナー制度の特別会場あり。

 第一会場~第四会場プラス、特別会場まで、書き手の総勢125名。


 今回は、作品へのフィードバックが多めに欲しいと思っていました。


 そして、一番気合いが入るだろう&盛り上がるのは特別会場だろうと予想。ですので、一般会場では一番アクセスが多い第一会場に入ることを目指しました(とはいえ、通常回の第一会場や、今回の特別会場ほど激戦&注目を浴びないだろうなーという臆病なこころもあり……)。

 そのため、今回は早くから原稿を作成しており、ちょこちょこと手直しをしてから提出(その割にミスもありました……内裏と大内裏をほぼ反対の意味で使用してしまいました。)。無事、第一会場に入れました。


 私が提出した原稿は、こちらでした。


【回数・会場・番号、タイトル】

25-1-12 後宮庭師のもののけ祓い


【あらすじ】

凌雲帝の御代。没落貴族の姫・烏谷菫子は親戚の菅原姓を名乗り、後宮の庭師として働いていた。

女官だった母に菫子を身ごもらせ、「物の怪が憑いた」と捨てた父の正体を突き止めるためだ。


ある日菫子が梅壺に薬を届けに行くと、そこには倒れる女御と「物の怪憑き」と糾弾される女房が。

そして思わず薬草の知識で女房の濡れ衣を晴らした菫子の薬庭に、謎めいた蔵人・橘基久が犯人捜しの協力を求めて訪れる。

中宮不在の後宮。近頃は梅壺女御と入内を控えたその妹姫の周囲で、物の怪の仕業としか思えぬ凶事が続いているというのだ。


「物の怪のせいにする前に、人の不可能を証明せねば。子細な検討が必要かと」

「現実主義者か。じゃあ、俺たちはお揃いだね」


二人で調査を進めれば、浮かび上がるは貴族の権勢争いと、四人の女御の恋模様。

そして菫子は帝の十三司と呼ばれた母の秘された職務が、後宮の病魔の治療と検死だと知り――。



【本文】

 別記事にて。



 会場順位は3位、全会場順位は10位でした。

 会場3位でした……ありがとうございます……!!!

 更に総合10位……これはアクセスが多い第一会場だからという理由も大きいと思いますが……。


 正直、最初、和風の中でも平安風は読者少ないし。

 と思っていたのですが、投票ポストを拝見しまして、思ったより読んで頂けてる……! と、運営さんの発表ツイート中、めちゃくちゃドキドキしてました……。


 

 お読み頂いた皆様、投票頂いた皆様。

 全感想、及び感想依頼で丁寧なご感想をくださった皆様。

 そして貴重な機会を与えてくださった運営様、主催の肥前先生。

 大変ありがとうございました。


 そして今回頂いたフィードバックを元に、長編として書き上げるためしばらく頑張りたいと思います。


※そして今回は何と、書き出し祭りのファンアートを書き続けていらっしゃる天崎 剣様に、ファンアートを描いて頂きました……大事にします。





■参加した目的:

・フィードバックが欲しい

 全感想に目を通すほか、感想依頼をお願いする。

 コンテストに応募&連載予定作品でした。

・他の参加作品を読んで勉強する

 感想を書かせて頂き、勉強する(注意深く読む、またその言語化)。

・他の方の感想を読んで、自分が抱いた感想との比較。

(・自分の中の好き/苦手、書けそう/無理そう をより自覚してみる)



■今回の大まかな狙い幾つか:

・前回フィードバックを得た、文章の書き方と情報の出し方について。今は迷走しないように、とりあえずこのままの方向性で書く。


・この作品、この分野の作品を今後書いていけそうか。

 ジャンルは女性向けレーベルの「平安もの」。

 そして「後宮ミステリ」。

 女性向けの平安もの、挑戦してみたいと思いつつ、ちゃんと書くのはほぼ初めて(平安風SF異能司書バトルは昔書きましたが……)。

 そして後宮要素。書いてみないと全く分からないです。


 女性向けレーベルの平安時代舞台は、異世界恋愛に比べて読まれにくい。書き出し祭りのフィードバックは超貴重。是非、最低限成立しているか知りたい。


 ミステリについても不安ではあります(特に後宮ミステリ)が、後宮要素の不安の方が強いです。

 ミステリは、既に異世界恋愛と組み合わせて書いたので(あとPBWのシナリオでも)……。



・おおよそのレーベルを意識(5つほど想定、およびWeb連載も)

 文章の硬さ、平安時代独特のものについての説明(そのまま説明のこともあり、婉曲的な描写背の説明もあり)は他作品を見た上で設定しました。

 割と素に近いのですが、頑張って気合い入れてるので硬めです。

 この辺、レーベルカラーもあるのですが不勉強なため、あわよくばフィードバックがもらえるかなあと……。

 あらすじからいっても、ターゲットは狭くなると承知の上でしたが、刺さる人に刺さるように考えました。


 その上で(もうちょっとターゲットを広くしたいのもあって)、他では見たことがなかったのですが、思い切って漢字に現代の説明ルビを当てるようにしました。

 いちいち「渡殿」を「わたどの」と読ませた上で、「建物同士(寝殿と対屋は何? となりそう)を繋ぐ橋のような廊下」と説明した上で覚えさせ、毎回頭の中で変換するのは、ユーザーフレンドリーでないと感じました。私もたぶん面倒です。

 逆に、ルビは楽だけど書く方(変換)が手間な例としては、(律令制度では、役所の重職である四等官の)「かみすけじょうさかん」が、役所によって使う文字が違います。

 また説明のために文章を長くするとテンポが損なわれると懸念しました。更に祭りは4000字制限ですので余計に。



・長編の第一話を意識する。

 先行作品(平安もの、中華後宮、東洋系ファンタジー)の書き出しを読みました。

 迷いましたが、情景・世界説明に文字を割きました。

 代わりというか、そこに様々な情報(世界設定)と謎、引きを付加していくことにしました。みちみちだと思います……。

 とはいえ、ちょっと下心を出して最後に引きを作りました。


 ヒーローを先出しするかはかなり迷ったのですが、「春は早朝つとめて」の清少納言パワーに頼ることにしたのと(知ってるのと違う、と気を引けるかなあという下心も)、他のシーンに割ける分量が少なくなること。

 そして(内容はでたらめな例ですが)「清涼殿せいりょうでん宿直装束とのいしょうぞく左馬頭さまのかみが、穢れたる血まみれの姿で倒れており、その近くで女房装束のヒロインと狩衣姿のヒーローが敵と対峙~」って書かれても、まずその情景が思い浮かばないだろうなあ、と思いました。

 逆にその辺りを全く省いてしまうと、本編との温度差ができてしまいそうです。

 先に世界観を出しておいて、ある程度の間取りや装束(とそこでそれを着ている意味など)を出しておいた方がいいのではないか、と。



・「書き出し」に必要と思われる要素を詰めてみる。

 特にファースト10を書き慣れるためです。

 ……前回感想を書き、他の方の感想を読み、比較し、せっかちになっている自分にとって、知りたい要素が詰まっている(「これはこういう話ですよ」をお出しする)と実感したためです。



・タイトル>あらすじ>本文(そして次ページへの引き)

 太い道を通すつもりで。

 あらすじについては、本文の進みが他作品と比較して遅いことが予想されましたので、先の要素まで書くことにしました。

 文庫本のタイトルを見る>あらすじを見る>めくる、をイメージしました。



・タイトルについて。

 後宮ものが流行なのは知っていたので、強いワードとして入れたかったのです。

 けれど中華後宮イメージが強いので、これは日本の話だと示したくて、「もののけ」をひらがなで入れました。

 実は「平安後宮」という言葉をタイトルにされている商業作品がありますが……、パクリになってしまうと思い、またタイトルが今のところでは長くなるかな? と思い避けました。

 (※今後、様子を見て使用するかどうか、検討します。「宮中」もありですが……)

 「もののけ祓い」になるとファンタジー(陰陽師)イメージかなとも思いましたが、これはあらすじで補完することに。

 タイトル、もう少し練ったりサブタイトルを付けて補いたいと思います。



・あらすじについて。

 梗概でも良い、というレギュレーション。

 先の見通しが立つように、ジャンルが分かるように一話の先まで書きました。


 そして、パラレル平安と示したかったあらすじ冒頭の「凌雲帝の御代」。

 これは、凌雲集の言葉のイメージが何処かで残ってたのだと思います。

 作品のわかりやすさのため、他と被りがち(よく見る設定)を承知で後宮の住居を四分割したのですが――あと源氏物語も四季の庭造ってるし、主人公庭師だし、私は日本史の藤原の下の名前が覚えられないので姓を変えたいし、とか色々な理由で――冬の庭は「梅に鶯」。

 皇帝は中央に住むので。「桐に鳳凰」。帝の文様が桐竹鳳凰麒麟。また、雲モチーフは格が高いこと。他の鳥より一番高く飛ぶ……というイメージで付けました。

 ……ですが、ここで中華イメージの方が読者さんに強かったようです。良くなかったですね……。

 日本語読みの何かいい感じの帝の名前を考えたいです。



■今後意識すべき点

・キャラクター作り

・読みやすさ

・背景知識の勉強

 こちらは、読書/書き出して勉強中なのでこのままで

 古典を今更読んだり、読み直してます。


・なにかいろいろ足りないところ


・先行作品の研究(同ジャンル及びミステリ)

 特に「似てる」と複数人に指摘された作品を、有名にも関わらず読んでいなかったため。主人公の職業については、設定の大幅改変が必要かもしれない……ですがだいぶ全体プロットの根幹に近いところなのです……。

 基本的な想定ジャンルと文脈は、別のもののつもりだったのですね。その上で、姫(貴族階級出身)が多いジャンルに、色々理由があって、「地面に降りて移動する」仕事を設定したかったので……(衣装の都合で女房はあまり地面に降りないと思うので)。特に鳥辺野(葬送と検死)はキーにしたく。

 葬式配信では大丈夫、とのお声を頂戴したので大丈夫かなあ、大丈夫だといいなあ……。


 ミステリについては、名探偵とかアリバイとか完全犯罪とかトリックとか(読むのが)、好きなのですが、そこメインにどーん、とするジャンルでない気がするので、上手く組み合わせたいです。



■第26回書き出し祭り

 参加権を頂きました。

 こちらは今回のフィードバックを元に、別の課題を設定して挑みたいと思います。

 宜しくお願いいたします。

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