紅に染まるとき

 山が紅に染まるとき——

 それは、秋が手渡した彩りのロマンスなのだろうか。

 緑の葉は筆をすくい上げ、

 胸を躍らせながら、色を重ねていく。

 息を奪われるほど鮮やかな紅へ。

「ねえ、もう目を離せないでしょ?」


 山が紅に染まるとき——

 それは、日の出が灯した淡いときめきなのだろうか。

 太陽は澄んだ舞い靴を履き、

 息を弾ませながら、稜線を跳ねていく。

 心までふわりと酔わせる紅へ。

「ほら、この紅をもっときらめかせてあげたよ。」


 山が紅に染まり、

 葉が紅に色づき、

 光までも紅に透けてゆくとき——

 私は思わず目を閉じた。


 閉じたのに、

 視界はまだ、

 胸が高鳴るほどの紅のまま。


「ちがうよ。紅葉が舞って、陽だまりが私の世界にそっと口づけしたんだ。」


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 写真はこちら:

 https://kakuyomu.jp/users/kuripumpkin/news/822139839497563215

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