第25話 

ブリーフィングでゾラから二人のパイロットを紹介される。


 「今回からあなたの直下へ着くことになった二人よ」


見たことのないパイロットスーツ・・・汎用品か?に身を包んだ、見たことのある金髪と黒髪のフタリが並ぶ。

両人ともゾラより頭一つ分位高い少女だ。


「ユーミです。・・・あの後、移民船でボランティアをしてましたが……子供達の泣き顔を目にし、自分にしか出来ないことが有ると決意し志願しました」


子供達のためとはいえ、こんな女の子が・・・というライアン由来のやるせなさと単純に美少女が増えていんじゃね程度のゲツ由来の興味と白人だし@数年も経たずに恐竜みたいな顔になっちまうんだろなあというシゲル由来の残念感と子供たちガーとかなにお為ごかしてんだよこの女、どーせ男探しにきたんだろ的なゾラ由来の軽侮がそれぞれ混沌とした感情となって胸の中へと沈んでいった。


女の子の姿を確認する。


同人種……濃い金髪にブルーの瞳。

ジュリアンさんをはじめ金髪三人衆が消えてしまい微妙な居心地の悪さを感じていたところで心強い援軍だ。

女の子だし、奇異を見るような不躾な視線を僕よりも集めてくれるに違いない。


二人目は・・・黒髪の女の子は視線を移す僕を無視し、ゾラへと詰め寄っていく。


「ジョウ・パイリーよ。アタシはゾラ、あんたに言いたいことがあんだけど」


「聞かぬ」


ゾラはけんもほろろに言い捨てるが、パイリーは無視して口を開く。


「なんでザザンを行かせたの?止めてよ!あたしのカラダをあんなにしてそのまま結婚除隊退役なんて……ありえない!せめてあたしを四人目の従者として連れてくべきじゃない!」


思わず周囲を確認してしまう。

ブリッジ内だろ・・・なぜ職場の同僚の前で赤裸々な私事を開陳するんだこの少女は!


「そういう面白い話ならもっと聞かせろ」


止めるどころか煽るゾラ。


「ふざけんじゃないわよ!ふざけると言えばあたしに配機されたあのゾカはなに?!あの爛れてハミ出した局部のような色……あたしのアソコへ当て付けてんの!?そいえばパーソナルマークも熟れきったアケビの下に花弁の爛れたバラ……ゾラ!あんた何の権利があってアタシをソコまで愚弄するの!?」


いや、それはゾラのパーソナルな・・・


「まぁ私は戦隊長でありこの中隊では上官よりも偉いわけであるが……他人を愚弄するのに権利も権威も権力もいらんだろ。それにそのゾカもパーソナルマークも私のモノだ。何一つお前には渡さん」


「……え?じゃああなたの下って……アタシと同じ?」


言われたゾラのカオは白いままなのに、聞いてしまった僕の方が赤面してしまう。

たしかに、凄惨に荒れ果ててはいたけど・・・うっ、ヘソの上まで膨らんできてしまった・・・鳩尾超えたらバレてしまう。


「ザザンめ、前の方だけはキレイに残しておけとあれほど……」


黒髪の少女はゾラへ躍りかかった。


「このクサレアマがぁあああああ!!!!!」


ブリッジ内に革を叩くような破裂音が連続して鳴り響き、一際大きな炸裂音の直後、固く重いモノが立てる様な音と共に、パイリーが床へと倒れ込んだ。


「なッ、……パイリー、しっかり」


ユーミが黒髪の少女を助け起こす。


「あーびっくりした……捌きと打ち手が一緒に来るんだもん、なに?少林拳とかそういう系?」


ユーミに助け起こされたパイリーが目を回しながら答える。


「クソッタレがッ、暗器さえあったらッ……!」


「そうか、拳銃はもう捨てたのか?次回は使えよ」


「えっ?!」


暗器、拳銃……この二人は殺し合いでもしているのか?


「?…ああ、ライアン。本気になるな……いや、本気だ。戦士の……騎士か?そういうなんか意識高い系の遊びなんだよ」


「ああ、そういえばドズ……バルバドス中将閣下がよく戦士の流儀を語られていたが」


「そうそれ!ジュリアンがそんなん言ってた!そいやあん時も確かあーしを人質に取ろうと……凄い、あんたほんとに兵士じゃんマジ凄いって!」



ゾラがパイリーを塩対応から一転、持ち上げ出した。

そういえば、アニメでは主人公の回りを何となくフラフラしてるだけ、って……ああ、エンリカ中尉と殴り合いしてたっけ。


「全部ソツ無くいなしといてよく言うわよ……」


「いや、あーしの場合転生分のゲタがあんだからもう同世代キャラの中ではあんたが優勝でいいわよ……てかひょっとしてユーミより強い?」


パイリーがじっとりとした重く湿った視線を横のユーミへと注ぐ。


「ミドルスクール辺りでもう抜かれてたわよ……なのにこんなッ!」


そう叫びパイリーは突如ユーミの胸を揉みしだいた。


「ひゃん!イタッ、痛いって!」


「女なんかになってんじゃねーよ!めんま二分の一かアンタはッ!」


めんま1/2……水を被ったりお湯を被ったりでどーのこーのなってしまう漫画作品だっけ。

パイリーが知ってるってことは宇宙世紀になっても続いてるんだな……って、ジャンル違いの他作品を劇中話にしていいのか?


「二分の一じゃなくて全部だね全部。全部女」


「モーイヤッ!何なのこの二重三重の混沌!アタシなんか悪いことした?神様に嫌われるようなナニをしたって言うのよォ―――ッ!」


ヒステリックな絶叫と共にパイリーはしゃがみこんでしまった。

・・・パイロット適正無いんじゃないかこの子・・・


「ライアン、抱いてやれ」


「えっ?」


ゾラを信じられない気持ちで見つめる 。


「あたしも抱いて慰めたいけどさ、ほら、只の擬態で暗殺の仕掛けかもしんないじゃん」


ああ、その抱け、か・・・


「ええ……なんて難儀な……」


踞ったパイリーは既にユーミに両肩を抱かれてるので、手を差し伸べる。

しかしパイリーは僕の手をよけ、一人で立ち上がる。



「・・・まあいいわ。じゃああたしはリーゼも無いし、部屋で寝てるわね」


「そうだな・・・それだけ体術の心得があるなら、マサーンを任せてもよさそうだ」


まりんぬ艦長がシートから身を乗り出す。


「戦隊長殿、あれは最新鋭の隊長機ではないですか」


「先ほどの私との捌き合いを見たろう?ゼロG下が本題だが・・・」


ゾラの問うような視線を受け、パイリーが答える。


「ゼロG格闘なんて幼稚園からやってるわよ、うちの道場じゃね」


「では決まりだな……ユーミの方の機体はツァイか。まあ女になったとはいえ主人公だ。動機も良い……我々の物語に商業的価値が発生した時に君が主役ならスポンサーも安心するだろう」


「メタ発現ですか?」


「我らにとってはリアルだが、世界は商業作品なんだ。気にした方がよかろう」


「そうですかね、ジュリアンや他の転生者はかなり好きにやってたみたいですけど」


「それが使命だったのだろうよ。我々にはそういったものが無いだろ、この世界・・・わたしのカラダに降りる前の白いジジイのやる気のなさを思い返すと、外の世界を気にかける程度の慎重さは持った方がよいと感じる」


「うーん、まあゾラが気にするっていうなら、僕も気にしておくよ」


「あの、あたし達何を見せられてんの?もう帰っていい?」



不満を漏らすパイリーにゾラが解散を宣言し僕とゾラも部屋へと帰った。









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