後日談

第15話 

「その、大尉が・・・クロードさんが怖くて」


俺の都合でそっちの捕虜を開放しろ、と厚顔無恥の交渉・・・要求を突き付けそのままこちらになんの臆面もなく居座っているユーミ・・・この虚構世界の主人公、だが何故か器質的に女性に変化している・・・のハナシを聞こうとあたしゾラとジュリアン、ユーミの3人で宴会・・・駆逐艦にレクルームは無いので、雑用部屋で適当なイスやら箱やらに腰かけビール片手にダラダラしている。


「襲われたのか」


「いえ、でも・・・私の心がいやらしいだけかもしれません、腰に手を回されたりすると、つい避けてしまって」


「・・・なんなんこの・・・女子中学生かよ」


ジュリアンの問いに自らの腕を抱きながら悩まし気に性の目覚めLv1みたいなモンをふつふつと吐露するミーユにウザったさが募ってゆき、ビールがとても不味い。


「ユーミはお前みたいに中身おっさんじゃねえんだよ」


「ハイハイ、ピュアな女子は男のロマンだもんなあ判るよおっさん(65は爺だよなあ・・・)同士だけにな!」


ジュリアンからの掣肘をドレッドノート級の正論で撃破する。


「いえ、当主様かまいません。ゾラ中尉、私は男から女になったのです。言わばあなたとは逆、子供が大人に転生してしまったようなものですので、ご不快は理解できます」


敵意も不快もその目にすら現さず、あーしを向き頭を下げる。

あーそうそう、感情優先の割に理屈っぽい性格なんだっけ。


「はぁー、言うねえ。で?ブルーレット・・・あっちの准将?に使者を装わせられこっちに捨てられたってことでいいの?」


「捨てられ・・・あ、そうですね。実際的にわたしは随分前の地球降下作戦で戦死して・・・任務を失敗してますし、つまらない間違いで大尉の経歴に傷でもつけてしまったら・・・前大戦の英雄ですし、そんな大人の都合もあったのかもしれません」


「大人の・・・て、子供気分で居付かれるのは―――――」


ジュリアン中尉の目を見、言葉を選ぶ。


「・・・まあ、そうだな。キミが自分の女に慣れるまで存分に安らいで、つか好きに行動してくれてかまわない」


戦死による安らかな退場を得るまでは、ジュリアンに敵認定されたくねえ・・・つーか調子狂うなぁ。


「あのさ、あんたってもっと感情ブッパなキャラじゃなかった?なんでそんなピュアで健気で処女のままテキの粒子砲弾に儚く散ってゆくみたいな性格になっちゃったの?」


「わかりませんよ、そんなの。変わったつもりもないですし・・・それよりもゾラさん・・・」


儚い、で正史()のゼッタの死に様を連想してしまったが、最大加速でジュリアン機をド突いて身代わり爆死だからな、凄絶系に入るよなやっぱ。


あの儚い切なさは100,000,000パーセント以上声優さんの力量やぞ!



声1 『ぐわっ、ゼッタ!おまえ・・・!』


声2  『じゃあね、ジュリアン。顔がイイだけじゃ―――――』



監「はいカット、次ぎシーン23いきまー」


声2 「あーすいません、今のここ別のセリフやっていいですか?」


監「どこ?」


声2 「2A22、前のカットの最後爆死するとこですー」


監「はーい。カウント~3,2,1,―――――」


 

声2 『・・・・・大好き』



監「はいカットォオオオオオ!いいね今の!後でホテル行く?!」


声2 「行きませんて!進めてください―」


監「じゃあ使わね!23いきまー」



ゼッタの機体の新規金型製作も開始されていたということで、ロボを印象付けられるわかりやすい演出をとのスポンサーからのめんどくさい要望を胡麻化すカタチで使われることとなった。ブーム下火の逆風もあった中、ロボはそれなりに売れたという。



「・・さん、ゾラさん!」


「え?あ、ごめんちょっと考え事してた」


ビールの缶を振り、新しいのを開栓ける・・・あ、空き缶あったわ宇宙世紀にもwww

ジュリアンが首を振り、言った。


「ジョウ・・・パイリーをコッチに乗せるかユーミをブリギッドへやってくれ、てハナシなんだが」


え?あの狂暴なザザン幕下が支配するブリギットへ??なんで???


「あんな・・・っと、あっち行ったらもうその日中に穴だらけにされちゃうんじゃないの?ユーミ、あなたはいいの?」


「穴だらけ?撃たれるってことですか?」


うっ・・・ジュリアンを見る。


「ザザンはそんな無茶苦茶なヤツじゃない。ただ殺しが好きなだけってフツーの兵士だ」


「シーカーには出せないわね…」


殺しが好きな兵士・・・フツーなの?最悪じゃん・・・民間施設への潜入みたいなちょっとデリケートな作戦にゃ連れていけんなアイツ。


「ああ、ジュリアンがいいなら・・・そうね、ユーミの件は全て中尉に移管します。これは戦隊長命令です」


「へーい。ところでユーミ、おまえ何で来た?」


「え、ですからパイリーを」


「リーゼだ。まさかゼットで来たのか?」


ああ、そうだ。

主人公が生身で乗り込んできた、て恐怖で全然サッパリなんの確認もしてなかったわ。


「まさか、あれは僕の・・・設計には私のアイディアも入ってますけど、あくまで装甲の可動域の拡大と剛性変化のコントロールに(中略)というレベルですからとても専属機になんて・・・ましてや大企業と1軍閥の機密を私と一緒に渡すなんてないですよ」


あのアイディアを理論化して電磁化されてたらちょっと怖いですけど、などと小動物じみた身ぶりで怯えを表現するユーミに僅かな苛立ちを感じすぎる。


つーかナニ?

十六才で設計に口出すとかそんな大層な…って、思い出したわ!

ゼットって魂吸収したりするヤバイ兵装があったんだわ……つかファーストのナミエの異能もそんなのじゃなかった?たしか最終回のセリフが「二百七十兆五千七百億人の命、ご馳走さまでした!」だったような……ラスボスかよ!


「じゃあ何で来たんだ」


「ツァイですよ、黒いままの」


「へえ懐かしいな。お前のおやじがとんでもないドライブでハイン10機を―――――」



ジュリアンの昔話に聞きいる。

初期10話くらいのハナシで、たしか家族を人質に~て辺りか。

はぁ、そんころのあーしはスパイだロリ資本家接待だなんだかんだで股からナニまでめたくそ使い倒されてたわ・・・ジロー様・・・


あの頃の自分の心模様、愛の犠牲と奉仕がもたらす幸福と虚しさをまるで他人事のようにチラリ思い返す。


なんかおっさんの魂差分の所為で人生諦め率がめたくそ上昇しちゃってて遣る瀬が無いのねん・・・


「・・・そんな感じでおまえの家族は今ザイオン・ネウでケーキでも食ってんだろよ」


はぁ?生きてんの??ユーミの家族が??


「は?ユーミの家族って・・・」


「ああ、全員生きてるぞ」


「え、すげえじゃんジュリアンが助けたの?」


確か捕虜交換の為のランチのエンジンを極小落下させてピーコデスから呼んだハインツァイの2個中隊32機丸々事象の地平の向こうへ飲み込まれるんじゃなったっけ?BGMのペットの哀愁ノートと一緒に・・・


「いや、ハイジ・・・うーんまぁ奴の立ち回りかな。ユーミの妹はハマミの所為で宇宙の全てが変わったとかゆんゆん全開でのたまってたが」


しかしその後を聞いても活躍したのはユーミのおやじとルフィ、そしてマシューというハマミ殿下の騎士ポジイケメンだけでジュリアンはただゾカIIに乗ってそこに居ただけって感じなんだけど・・・


「そのハイジ?ってヒトも、ってゆうかジュリアンあんたなんもしてないじゃん」


「いや、バショク大佐を通じて当時ここらの領袖に収まってたツェペシ侯爵と家を繋いだり自爆テロで植民惑星毎爆死するはずだったアマーリエを10年前に嫁にしてたお陰で被害をツァイ2機と数名の死者に抑えたりその後のダナンを最大閥にしたり・・・ああ、いまユニオンつったら本筋と違って完全にダナーンズの下部組織だからな?まぁこれは俺や奴よりもうちのかーちゃん・・・母親と嫁達の政治手腕になんのか」


「嫁” ”達” ?・・・重婚罪とかないのこの世界。つか何人いんのよ」


「3人とゼッタだな。アマリエ、リリア(ん)、リエだ」


「テロ屋のトップと軍憲の長と・・・リエ?てオスギデス落下のシーンで消えるモブじゃない?あ、山田・・・ジオテラーズの係累か、とんでもねーな何だよそのチート級の人脈は」


「ああ。とんでもない奴だった・・・が、リーゼの運転は下手だったな」


フ、と笑いシートにもたれるジュリアン。





いや、ソレあんたもじゃんジュリアンよ・・・

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