第2話
『まゆり、こっちこっち〜』
連絡があった通りのカフェに行けば、すでに相手は来ていた。
「ごめん奈都子。先輩たちが喋ってるとこに捕まってさ〜」
『あ〜…あんたんとこの先輩たち、面倒くさそうだもんね』
待ち合わせをしていたのは、同期の
性格は姉御っぽいところがまた魅力である。
「さっきもさ〜、自分は仕事に集中してないくせに、私に書類作成押し付けてきたんだよ…チラチラ出入口見てる暇あるなら指を動かして仕事をしろ!」
このカフェは会社から近いものの、隠れ家のようなお店のために社内の人はほぼ来ない。マスターがとても渋いおじさまで、珈琲が格別に美味しい。
私は本日のランチセットAを頼み、奈都子はBセットを頼む。
「して、本日の予定は大丈夫か?」
『あったりまえよ。今日のために仕事調整してるもの』
なぜ私と、高嶺の花である奈都子が仲良いかというと。
『なんせ我らの推しCPが画面に映る日だもんね!』
趣味が同じだからである。
「はぁ〜、ようやくだよ、ようやく。待ちに待った記念日だよ今日は…」
『ほんとそれよ。アニメ化してからどれほど待ちわびたことか…』
2人してお冷の入ったグラスで乾杯する。
「部屋も掃除したからそのまま泊まれますぜ、姉御」
『まゆりの部屋はいつも綺麗じゃない』
「修羅場中は汚いけどね」
『それは世の中みんなそうだから気にすることじゃないわ』
にっこり微笑まれて、危うく恋に落ちるとこだった。
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