借金ヒロイン、返済先は地味男子!?
邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
第1話 カズトとナオミは、ただの同級生(クラスメート)
昼休み、いつもの
ナオミは得意げに弁当を差し出す。
「はい、丹精込めて作った手作り弁当よ!」
カズトは弁当の蓋を開けると、弁当箱の8割が白飯で、残りの2割はレンジでチンした冷凍おかずが肩身を狭く置かれていた。
「‥‥なんかいつもと風変わりしないね」
「し、しかたないでしょう。そんなに毎日朝早く起きれなくて‥‥でも、一応手作り弁当なんだからね。ねえ、これはおいくら万円になりますか?」
カズトは少しため息を吐き、脳内で材料費と手間賃を算出する。
「300‥‥いや、お情けで350円」
「えーそんなー!??? 鬼! 悪魔! ケチ!」
低評価な低価格に、ナオミは不満げな声をあげて頭を抱えたのであった。
カズトとナオミは、ただの同級生(クラスメート)だ。
友人というほど親しくもなく、恋人というわけでもない。
それなのに昼休みの時間に手作り弁当(?)を渡される間柄なのは--。
カズト‥‥冷泉カズトはそれほど目立つタイプではなく、いわゆるモブタイプ。だが、幼い頃からしっかり者だった。
中の下の一般家庭育ちだからこそ、幼い頃から小遣いをもらえば、それを投資に回し、計画的に資産を増やしてきた。(投資はお婆ちゃんの勧めでもあった)
その結果、今では同世代の学生とは比較にならないほどの貯蓄をしていると思う。
(もちろん、この事は内密にしている。大金を持っていると同級生に知られたらハゲタカやハイエナの如くすり寄ってくるからだ。それもお婆ちゃんからの忠言だった)
一方のナオミ‥‥新垣ナオミはというと、カズトとは真逆のタイプだった。
明朗快活で社交的でスタイルには恵まれ、豊満な胸と程よく引き締まったヒップを持つ彼女は同性からは羨望の眼差しを受け、異性からは好意を寄せられることも多かった。
つまりは主人公、またはヒロインタイプだ。
そんな彼女だが欠点はある。
直情的で衝動的で、明朗快活な社交的=風見鶏の八方美人であるがゆえに、それが要因でナオミがはカズトに二十万円近い借金をしていたのだ。
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