第23話 最悪の選択
こんな時でも上の子の育児はやらなければいけない。まだ出血もなく今のところお腹の張りも感じない。ただお腹が大きくなって来て今までのように動く事が出来なくなって来たけど、妊娠を言い訳に上の子の育児の手を抜く事はしたくなかった。
助産師さんは出来るだけ安静にしてと言ってたけれど、そんなの無理だった。
旦那に相談したところでどうにも出来ないが、とりあえず何かあった時の為にベビーシッターの登録を始めた。高額な所だと入会金が5万円もするところもあった。やはりベビーシッターをメインというのは現実的に厳しい。
私の母親が生きていたら泊りに来てもらう事も出来たのにと悔しくなった。私は孫のお世話をしたいからいつまでも元気でいようと心に誓った。
旦那の妹が心配して新幹線の距離だが、手伝いに行こうか?と打診してくれた。
色々と皆でどうにかして頑張っていい方法を見つけようとしていく中で、上の子の体調が余り良くない事に気付いた。
いつもなら保育園から帰って来た後のアイスクリームをギャン泣きしてでも欲しがるくせにその日は欲しがらなかった。
鼻水が気になるとは先生に言われたけど、給食は食べてるみたいだった。元々小食なのだがいつもに増して小食だ。
「食べないの?」
煎餅を出してみてもいらないと言う。熱を測っても平熱だった。念の為いつもよりも早く寝かしつけをしたが愚図って中々寝てくれない。これはおかしいと思っていたら38度6分の高熱が出た。
妊娠29週を過ぎた時の事だった。熱は2日程で引いたがいつもとは様子が明らかに違ったが熱もないので保育園に行かせた。
するとその日に保育園から「ご飯を全然食べない」と指摘があった。口の中をよく見ると口内炎がいくつも出来ていて、かかとに赤い斑点を見つけた。
手足口病だった。グッタリとして食欲のない我が子を見ていると胸が張り裂けそうになる。
「もし、私が2ケ月も入院してる時にこの子が病気になったらどうすればいいの?」
私は漠然とした不安が襲って来た。何とも言えない焦燥感と不安が交互に押し寄せて来る。考えようとすると胸の鼓動がバクバクしてるのが分かった。
この時、私の頭の中では何が起きていたのか分からない。けれど私は、一番選んではいけない選択肢を選んでしまったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます