第56話

菜々子side



正直、

お店でユウタに声をかけられて

心臓が止まった。



隣に栄太がいたから

平常心を保てた。



久しぶりにユウタの顔を見て

全身が怒りで震えた。



店の外で話しかけられた時は

もぅ叫び出しそうだった。


でもミホの私を守る言葉で

正気を保てた。





私はみんなには絶対に言いたくない事が

山ほどある。



思い出すだけで

体中に痛みが走ることが

山ほどある。



それを全て話すのは

申し訳なかった。

みんなにまで背負わせてしまうから

ある程度の事だけ話した。


それだけでも

スッキリした。


みんなもきっと

今まで気になっていたはずで。



でも聞かずに

なにも知らないのに

寄り添ってくれた事

感謝してる。

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