第7話 追憶──学園封筒──陸でなしのショッピング
暫くの無気力思考停止の安心の世界、そう。視界に入った何者か……。深々とフードを被った分厚いジャンパーの人間。性別の区別も付かないヤツ。見覚え、それが無いとは言わせない。
「おい、三人と……」
そこに居るのは二人だけ……。長い髪を後ろに結ぶ少年、ひいろの姿が無い。
「ひいろはどうした?」
「また電話が来たからってついでに自分の飲み物も買ってくるって」
そうか、さっき俺達が来たからって電話急に切ってそのうえ飲み物も買って用意してたくせに自分の分買ってないなんてな。まあ、アイツらしいといえばそうか。
「俺もちょーっとひいろ探しに行ってくるわ、合流する気分になったら連絡するから適当に動き回っててな」
「ちょ兄い!そっちひいろ向かってない!!」
俺の舌と足は勝手に動き始める。どうしようも無い、そのまめ俺は妹の声を後にそのフードの人間に向かって歩き始める。気付かれないよう慎重に。出来る限り素早く……。って行ったところでどうするんだ?確かにあとのきスズはアイツに殺されて。でもスズは生きていて一緒にいて……。でもアイツは此処に来て俺たちの近くに。
頭の中が変な風に混ざり合って歩きながら頭を抱える。俺のスマホに電話が入る……。
『あれ、さきとくん?さっき僕を探しに何処か行っちゃったって聞いたけど』
「なんだ……。ひいろか」
『ああ、そうだとも。キミの親友、針槐緋依鷺だよ』
「まあ、そうだな。お前は親友だな……」
俺がそんな言葉を返すと同時に右と左の両方からひいろの声に挟まれる。
「で、どうしたんだい?今日はさっきから……というか一昨日からずっと具合悪そうだけど」
「っうわ!?びっくりしたぁ……」
コイツ、電話しているうちに真隣に来ていやがった。
「おお、驚かせてしまってすまないね。どうか、切腹だけで赦してくれるかな?」
彼は笑いながら肩をひそめて俺に言う。
「逆にそんな事をしたら俺は一生お前のことを赦さん」
「うん、助かった〜。あっはっは〜、お〜い二人共〜」
「サキト反対方向向かってたのにもう見つけたの!?」
スズがナチュラルに驚いた表情を見せる。
「いや、電話掛けてきてそしたらコイt……」
「流石のさきとくんは瞬時に僕の居場所を分析、予測してこの場に現れたのだよ」
と、さらりと嘘を吐くひいろ。まあ嘘というか冗談か。
「いつから兄いは超高性能人工知能になったわけだか……」
「もしかしたら生命に関わる
俺達の会話に流れ込むように聞き覚えのある声がするりと……。
「やあ。こんにちは〜はじめまして!都合上本名は名乗れませんが
黒いジャンパー、明るい店内であるのにも関わらず深く被ったフードの奥は見えない。脳の奥を掻き混ぜるように鼓膜を着く声。
「お……おい……おまえ……」
「初対面にお前は失礼です。これでも試験官に殺されないだけマシだと思ってくださいよ」
すると、その黒い人間は分厚い服の裾から深くヒビの入ったソードブレイカーを取り出す。
「っ……に、逃げてっ三人共!!」
「い、いやそんな……」
「すみません、僕、機関の者ですし、あそこ一応はホワイト企業ですからお仕事に私事を持ち込むことはいいんですけど……」
「僕も怒られるのはいやなので……」
「あと、まだキミの眼の前で人殺しなんてしていないのに殺人鬼でも見るような目で僕を見てくるの止めてほしいかな……。これでも良心的な方なんだから……。だってこっちだって人を殺すのはイヤだし、そのうえすまないとは思っているんだ」
その機関の人間を自称するヤツは左手に下げた剣を俺の顔に近づけるや否や瞬時にその手を横に振る。数秒後自身の耳を強くつんざくひどい悲鳴。平和なはずの日常、ショッピングモールの中で聞くことなんて到底ありえないような声。
「あ、ガ……ぎゃ!!!!ああ!!!!ァあゝああア!!!!」
目が……切られた。視界にゆっくりと線が入るように、そこから世界が赤く染まる……光を途轍もなく強く感じる。熱い?痛い……。痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛イ痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛イ痛い痛い痛い痛い痛い痛い……………。
目をどうにか押さえつける。手元に体温を感じる液体がぽたりぽたりと落ちてくる。乾いた血と涙の混ざったような匂い。
「どう?これで視界も消えたし僕のことそんな風には見えないよね。あ、次は舌?でもやっぱり脳が一b……ん?どうしたの?」
俺の突然の経験したことないような痛みを感じる俺に声の主はまるで自身が被害者であるかのような声、平然とした声。いつものことのような声を出して俺達を見る。
「だ……だめ……私が、守るって……」
少女は紅と蒼の目を機関の人間に向けて、そして彼女は自身の手を前に。
「
彼女の手元に水分が集まる、流石に事の重大さに気付いたのか他人事のように通りすがっていた他人達が徐々にこちらに目をやる。そしてスズは震えながらも自身の
その様子を見たヤツは遠くを見据えるような声でスズを見る。赤く染まった視界の中。
「ふ〜ん……何、出来るじゃないか」
───うん、戦闘の意志アリ。評価の対象にはなるよ
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そしてあの時に聞いたような機関の人間の再びの電話の会話。誰かが通報したのか周囲がより一層周囲が騒がしくなる、俺の身体からまた徐々に感覚が消えていく。あのあと瞬時に腹を切られたみたいだ……。ひいろも遡も逃げられたかな……ってひいろが切腹とか冗談を言うから……。
真っ黒な意識の中、少女の声が聞こえる。誰だ?つか、本当に俺死んだのか……?
「で?何、またやり直せば良いかって?」
「……何処だよ此処……」
視界に広がるのは何処までも広がる黒い大地。
───何をまた驚いているんだ命の開放者よ。ま〜だ死んだばかりだってのにその平然とした痛みの分析はよお。何が「あのあと瞬時に腹を切られたみたいだ……。」だ……。
さて?次はどうするんだい?教えてくれ給え───
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