作りながら、懐かしんだ家庭の味



料理は好きだ。

手順を間違えなければきちんと出来上がるし、何より出来た料理を美味しそうに食べてもらえる事が1番、嬉しかったりする。


まあ、今のオレが料理を振舞う相手は兄かスライム達しかいないのだけども。


「さあて、そろそろいいかな」


本来なら、もち米は一晩たっぷり水を吸わせた方が良いんだけど。今回は急がなきゃだから、時間短縮って事で、ちょっと魔法を使う事にする。


水を吸い膨らんだもち米をざるにあげて、グリーンピースに似た緑豆と混ぜ合わせていく。配合は覚えてないけど、まあ目分量で良いんじゃないかな。


オレ的に、この緑豆を外す作業が何か好き。ヘタが付いてない方の丸みを帯びている先端の部分を親指で、こうグッと押すとパカッと開くんだよね。で、指を入れてサヤを開きつつ、緑豆を取り外していく。この動作、やったことある人ならわかると思うけど、触感っていうのかな、何か良いよね。


達成感があるし、やるの楽しいから黙々とやっちゃうんだけど、必要以上の量を取り出しちゃって、酷い時は緑豆料理だらけになっちゃう。これは反省。


因みに兄にやらせると、緑豆が爆散する。サヤを持った瞬間、パァンって吹き飛ぶんだよな。うん? 言ってる意味がわからない?

大丈夫、オレが1番、よくわかってないから。


「リティシアー! ツケテタカワヲ、キレイニシテ、モッテキタ!」


「わあ、ありがとう! ……うん、なかなかに良い感じ。これも時間短縮しなきゃいけなかったけど、まあ、大丈夫でしょ!」


ぷにゅぷにゅ揺れながら、リィタを含むスライム達が運んできてくれた物はたけのこの皮だ。そう、あの産毛に覆われた茶色い皮。筍が竹に成長する際、はらりはらりと土に落ちていくんだけど、これはその皮の中から、欠けておらず、汚れもなく、比較的大きく綺麗なものを数十枚持ってきてるんだ。


で、これを大きめの袋に入れて、汲み上げた井戸水につけておく。つけておくのは大体3日間ぐらい。でも、今回は魔法で時間短縮! 仕方ないもんね!


それをリィタ達が水から引き上げて、産毛と汚れを取るように、タワシでゴシゴシ磨いていく。んと、傷つけない程度の力加減で、綺麗にしていくの。

これに、もち米を詰めていかなきゃいけないからね!


よっし、さっさと進めよー!!


リィタ達から受け取った皮を、目分量で必要な大きさに割いていく。大体、端を割いてくんだ。

もち米を詰めるメイン部分、そして詰めた物を結ぶ為の紐になる部分。使わない部分なんてないんだよ。


左に緑豆の混ざったもち米、右側にはそれぞれに仕分けされた筍の皮。そして、中央には詰めた物を置く籠を準備する。

 

「あ、リィタ! 今のうちに鍋一杯にお湯を沸かしといて。それで、茹でていくから」


「リョウカイ〜!」


ぽにょんぽにょん、と身体を揺らしながら鍋を抱えてかまどの方に向かうリィタを見送り、オレは腕を捲ると、作業を進めていく。


左手には下半分をアイスの三角コーンのような形にした皮。右手にはスプーンを持ち、緑豆の混ざったもち米をそれに詰めていく。最初は握ってないと三角の形が解けてしまうけれど、ある程度詰めればその形にしっかり留まる。

上半分の部分で蓋をして、割いていた紐でキュッと結ぶ。意外と切れずにしっかりとしてるから、きちんと結んでいれば解ける事はない。


「んーと、たぶん、こんな感じだったよな……」


余分な部分をナイフで切り取り、出来た三角形のちまきをまじまじと見る。

我が家のちまきは、筍の皮を使ったこのちまきが主流だった。


お店で、細長い笹の葉とかで作られたちまきを見た時は、驚いたなあ。地域によって、違う事をオレは、あの時始めて知ってさ。


我が家のちまきは前世の母の祖母、オレからしたら、曾祖母から教わったらしい。筍の皮で作るのが当たり前で育ってきたから、オレとしては違和感はないんだけど。そういえば、友人達もびっくりしてたっけ。


調べてみたら、筍の皮には防腐作用、抗菌作用、消臭効果もあって通気性も高いらしい。先人達の知恵で作られていった料理だよなあ、うん。 


「……っと、いけないいけない!」


1個仕上げただけで、満足気にしみじみとしてたけど、まだまだ沢山作らなければいけないんだった。お湯が沸く頃には直ぐ投入出来るよう、数個は仕込んでいないと!


懐かしさから、ちょっと潤んだ涙を消すように、パチンと頬を叩くとスプーンを握り黙々と手を動かしていく。



美味しく出来上がると良いなあ。











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