第六話:終わらないレバニラ

 朝から晩までレバニラ漬けの私たち。事務所の冷蔵庫にも、控室にも、レバニラ弁当がひしめき合っている。


「橘ちゃん、正直、もう飽きた……」


「……私も。」




 それから数日間、私たちはひたすらレバニラを消費する日々を送った。しかし、さすがに限界が近づいてきた。


「橘ちゃん……これ、どうしよう……?」


「もう、レバニラの匂いを嗅ぐだけで気持ち悪くなりそう……」


 そんなとき、マネージャーが声をかけてきた。


「二人とも、お疲れ。ちょっといい話があるんだけど……」


「な、何ですか……?」


「実は、このレバニラの話がバズって、ある食品メーカーからコラボの話が来てるんだ。」


「えっ!?」


「レバニラ専門店とのコラボ企画で、二人に特別メニューを監修してほしいってさ。」


 私と澪は顔を見合わせた。


「……それってつまり?」


「まだまだ、レバニラ生活が続くってこと?」


 目の前が真っ暗になった。


 コラボ企画が本格的に進み、私たちは店舗を訪れることになった。開発担当のシェフと試食を繰り返し、理想のレバニラ炒めを追求する日々。しかし、それ以上に大きな変化があった。


「橘ちゃん、最近、私たちずっと一緒だね。」


「まぁ、レバニラのせいだけど……」


「でもさ、ちょっと楽しくなってきたかも。」


 ふとした瞬間、澪がじっと私を見つめる。


「ねえ、橘ちゃん。」


「な、何?」


「レバニラが終わっても、ずっと一緒にいたいな。」


 心臓が跳ねる音が聞こえた気がした。

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