第15話

皆様ご卒業おめでとうございます。


私も大学時代はこのキャンパスで過ごしました。

京都にある付属高校からこの実学院大学に入ってきました。


我々は何のために生きて、何のために苦しくても頑張るのか?

それをずっと考え続けた学生時代でした。


電子工学科から哲学科に移り、来る日も来る日も考え続けました。

そして、考えれば考えるほど分からなくなっていきました。

私は余計に苦しくなっていきました。


そうなるのが当たり前であることに気づいたのは、大学院から心理学など自分の専門分野以外のことにも興味を持ち始め、さらに研究者になってからでした。

学生時代にそれが分からなくなったのは、頭で考えるばかりで人と会うことをしなくなったからです。

それにより、周りの世界のことも自分のことも分からなくなってきたからでした。



皆様は大学まで色んなことを勉強されてきました。

しかし実社会のことを学ばれるのはこれからです。

皆様には、人生を懸けて取り組みたいと心から思えるようなご自身の使命を見つけて頂きたい。

そう願っています。


そのためにも、ご自分のことや世界のことをよく見て、よく知って頂きたい。

使命というと重たい感じがしますが、それは私たちの人生を楽しくしてくれます。


私の使命はというと、学生の皆様に「実学」を教えることだと信じております。

実学とは、自分の力で自分の幸せを見つけることが出来る力だと、我々は考えております。



人生とは本来、楽しいものだと信じております。

しかし、どんなに好きな道を選んでも、行き詰ることや時には逃げたくなることはあるでしょう。

そんな時に「希望は捨てるな」なんて言っても、私にはどこか薄っぺらく感じられてしまいます。


でもどんな逆境のときも、自分が幸せになることだけは諦めないでください。

そうすれば、希望は無くなりません。

それは、決して私たちを裏切りません。

私もそれを諦めなかったから、ここまで来られたと信じております。



苦しいときにこそ、現実を直視してください。

そうすれば、なぜ行き詰っているか分かるでしょう。

そして、今どうすれば良いかが見えてきます。

最後に皆様のご活躍、そして幸せな人生を送られますことを心から願っております。

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