消えざる"入れ罪"
第3話
一見、順調に思えた私の大学生活。
そんな中、あの事件が起きたのは、3年の時だった。
あの頃のことは思い出したくない。
でも思い出さずにはいられない。
当時、私は将来マスコミに入りたいと大学の先生や周りの人に言っていた。
アルバイトはしなかった。
時間さえあれば、ひたすら学科の勉強をやっていた。
その割には成績が徐々に下がり始めていることを気にしていた。
大学3年の夏休みを前に、研究室の先生から東京にある小さな出版社でのインターンシップへの参加を勧められた。
私は心ならずも参加することにした。
マスコミに入りたいのであれば、やっぱり避けて通れないと考えたからだ。
夏休みに入り、インターンが始まった。
大学ではただレポートには思いつくことを書いて、書くことが無くなれば思い当たるままに文献を探していた。
それでも通用していた。
インターンになると、出版社の社員の人と一緒に取材に走り回る毎日。
記者の荷物は私が持った。
季節は夏、東京の街。
これでもかというくらい暑い屋外と、冬になりかけているかのような電車や建物の中。
それだけでも疲れてしまう。
普段は人と接しない私が、人に会ってインタビューや取材をする。
それですごく気疲れした。
そして、疲れきって会社に帰ってきてからは原稿の執筆が待っていた。
まさに地獄だ。
お茶を入れたり、消耗品を補充したり、雑用もやらなければならなかった。
人手が足りないこともあり、インターンの学生とは言え、それなりの貢献をすることが求められた。
夜遅く大学の東京の保養所に戻り、次の日も朝早く出てこなければならなかった。
社内では編集長が記者の人たちを怒鳴っているのが聞かれた。
それも私にとっては耐え難かった。
おまけに記事を書くのもかなりのペースが求められた。
量があまりに多くて、それには応えられるはずがなかった。
いつしかそれを仕方がないと考えるようになった。
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