第2話 破れ舟の真言僧
苗がいなくなって、二十年余が過ぎた。
オギヤカが去り、尚真王も
何かの折りに、かつてこの村に、
この年、ある
――大和ではのう、昔から、徳を
ああ、えらい修行もあったもんじゃあ。
わずかばかりの水と食い物だけ積んでよ。しかも、せまくて暗い
もちろん、舟を
――。
そりゃあそうじゃ。
ニライカナイに着かなければ、もちろん水も飯も、いずれ尽き果ててしもうぞ。そうなればもう、
いざというときのためにのぅ、舟の底には穴を
それはそれは、きびしいきびしい航海じゃあ。命がけの、それはそれは、大変な修行なのじゃ。
それがのう、ときどき、
あたたかな晩春の
村祭りを終えたあとの世間話で、茶をすすりながら、村掟は、おそらく首里あたりから聞いたことを、まるで自分が航海してきたかのように、
村掟といっても、かつて苗に漢字を手ほどきした彼は亡くなり、別の者である。
その、大和から流されてきたという高僧は、今、
それから、なんでも、その真言僧の周辺には、ときどき、目を
それは、
「その上人さまは、真言の坊さまと云いましたかえ?」
「おお、そのように聞いておるがの……。それがなにか」
「いえ、なんでも」
そろそろ老いをむかえた棚原のノロは、顔いっぱいに
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