S級ハンターである幼馴染の能力を得て、アイツの隣に立てる男になるつもりだったのですが、いつの間にか世界最強になってました。

第一章

第1話 特性開花

綾実（あやみ） 雫（しずく）

別空間からのモンスターの出現により世界が混沌と化し、誰しもが将来の希望を見出せなかった中、突然世界中に現れた救世主のうちの1人。

氷と水を生成し操ることが他の魔術師と比べ異常に特出しており、氷の剣や霧などを作り出し、味方をサポートするサポーターとして、日本でも9人しかないS級ハンターの一員に成り上がった本物の実力者。

またメディアへの露出が多く、その端正な顔立ちとハンターとしての活躍が人気に繋がり、彼女の家を特定しようとする迷惑なファンクラブが爆誕したんだとか、そうではないだとか。

そういう闇深い話はともかく、もしそんな彼女が君の幼馴染だったらどう思うか？

もちろん絶交さえしてなければ彼女のことを誇らしく思うだろうし、親友にも自慢げに話せるだろう。

しかし、もしハンターになる前から彼女のことがずっと好きだったら、自分は彼女と立場を入れ替えたいと心から思う。

そうすればモンスターを殺すという、死も想定される責務を自分に擦り付け、彼女がモンスターに殺されるいう自分にとって最悪なシチュエーションを免れることができる。

まぁ、そんな上手く出来た話なんて実際あるはずもなく僕、早瀬（はやせ）零（れい）と綾実（あやみ） 雫（しずく）の幼馴染の関係は何も変化なく高校三年生の冬まで続いていた。

12月24日　聖夜

自室の窓から、真っ暗の中光っている中心部ののライトアップを横目で見ると、しみじみとした思いが込み上げ、思わず口を開けた。

「まじか………。まだ彼女いないの信じれんわ。」

「………そんなん当たり前でしょ」

「……なんで俺の部屋いるんだよ」

「私、気分屋だから」

目の前で、ニヒヒと笑う女は放っておいて

俺はスマホを視線をスマホに向ける。

「うわーん、兄ちゃんひ゛と゛い゛！うわーん、うわーん」

「うるさいなぁ…そや！」

隣で不法侵入と業務執行妨害を犯した妹を保護観察していたが、赤ちゃん化してもうどうしようもできないことを悟ったので、彼女の脇腹にこちょこちょを開始。

2分後、疲れきった妹がギブアップし、一旦停戦。

「それでさぁ。雫ちゃんとはどうなの？」

今一番触れられたくない話題提起をされ気が動転したのは確かだ

その後は何を話したのかあまり覚えていない。

「………今話題になって知ってると思うけど、イケメンS級ハンターと2人で話してたって報道されているよね。」

「………最近たまにメールで会話するぐらいだし、もう片思いなんてしなくていいのかなって思い始めたわ、、、へへへ」

「まぁまぁ、ハンター同士で付き合った方が分かり合えることも多いだろうしね。雫が幸せだったらそれが一番だよ………」

「…」

しょうもない男の話を妹は真剣な顔でまるで自分事のように聞いてくれていた。

そして最後に「私からの最後の忠告だよ。今から変えられることだってあるから。以上！」とだけ言って自分の部屋に去っていった。

きっと彼女にとっても雫は大事な人なんだろう。

僕だってそうだ。

この思いは誰にも負けない。

でもあと3ヶ月で卒業式を迎え、それぞれが旅路につく。

そこで彼女とは絶対にバイバイ。

そこまでの限られた時間を大切にする、そう意気込んだはずだった。

***

『こんにちは、ハヤセレイさま。特性開花の時間です』

「なんだこれ…」

12月25日　俺は神からクリスマスプレゼントを貰ったらしい。