第102話

『遥香ちゃんやっと来た…って、なんで、宮越がいる訳?』



どうやら俺が来るとは思っていなかったらしく、一瞬嫌そうな顔をした先輩。




やっぱり、遥香を一人で来させなくて正解だった。



「悪いっすか?」




『随分と先輩に生意気な口利くんだね?それにさ…遥香ちゃん、俺は一人で来てって言ったよね?』




先輩のその言葉に、俺の制服の袖を掴んでいた遥香の手がグッと強くなったのが分かった。




「俺が、勝手についてきただけですから。遥香は悪くないっすよ?」



『チッ、』



「あの、先輩?」



『あ?』



「先輩って、遥香のこと…好きらしいっすね?」




俺の言葉に、後ろに隠れていた遥香が一瞬ビクッとなったのが分かった。



どうやら、先輩に呼び出されたのは告白だって気づいてなかったようだ。




『もう、お前の耳にも入ってたんだ?まあ、それもそうか。あれだけ大きな声で言いふらしてたら、お前の耳にも入るか?』



「そうっすね。俺、遥香のこととなると黙ってなんかいられないんで。」



『……』



「あ、それと…ひとつ言わせてもらってもいいっすか?」




俺のその言葉に、先輩の眉間にシワが寄った。




「遥香は俺のなんで、俺の許可なしに勝手にコイツに手出さないでもらえますか?」



『何だと…』



「先輩、言ってたらしいっすね?俺がいても関係なしに遥香を落とそうって…自信気に言ってたって聞きましたよ?」



『ああ、そうだけど?』



「フッ、」



『テメェ、何が可笑しいんだよ?』



「残念ですけど…」




そこまで言うと、俺は後ろに隠れていた遥香の腰をグッと引いた。




そのまま遥香の細い腰に腕をまわし、驚いた様子の遥香に大丈夫だと言い聞かせるように優しく微笑んだ。

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