第3話 雨の降る中

「……あの。」

「ん、はい?」

「そこ濡れませんか?こっち寄れるので、良ければ。」

「あぁ――、ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えて。」

「……あの。」

「ん、はい?」

「ここ、よく来られるんですか、その、たまにお見掛けするので。」

「ん、まぁそうですね。最近結構来ます。――私もあなたのことたまに見ます。」

「えあ、そうですか。」

「えぇ。でも不思議です。」

「何がですか?」

「私、雨が降ってる日にしかあなたを見ないんです。」

「……そうなんですか?おかしいな、毎日いるんですが。」

「不思議ですねー。晴れの日にもお会いしてみたいものだ。」

「えあ、そう、ですね。」

「ところでご存じですか?ここの噂。」

「噂?といいますと?」

「ここ、過去に飛び降り自殺があったそうですよ。だからまぁお化けがでるとか。」

「えぇ、そうなんですか。初めて聞きました。」

「……今日みたいな雨の日に、ふわりと飛んで落ちたそうです。」

「そうなんですね。」

「……あの。」

「……?」

「そこ、濡れませんか?」

 落ちちゃいませんか?

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