愛¥09_フリー.log
「コーヒー淹れるけど」
「ん、飲む」
9回目は、なにをしたものか、わたしとカナタは同棲をしていた。同じものを食べ、同じ布団で眠り、同じ時間を共有した。
海外へついていった3回目のときとはまるで違う、静かで穏やかな日々だ。
心が跳ねるようなことも、切羽詰まることも、ない。
そしてそのどれもが、わたしの知る愛とは一致しなかった。
「……こんなの、違う」
「アイ?」
「わたしは、カナタと愛を育むために生きているのに。こんなの、愛じゃない」
「え……え?」
カナタは、なにを言っているのかわからないというふうに目を瞬かせた。
器用で、なんでもそつなくこなせる彼が、こんな簡単なこともわからないなんて。だって、愛って、こんなものじゃないでしょう?
キッチンでお湯を沸かしていたカナタは焦ったように火をとめて、わたしの前に立つ。
ちゅ、と淡いキスをされた。
「今夜は一緒に風呂入る?」
今じゃダメなの? と聞こうとして、けれどカナタには理解してもらえないような気がして。言葉に詰まってうつむいたままのわたしを、カナタは恐々抱きしめる。
そのままめちゃくちゃに乱してくれればいいのに、今回の彼はけっしてそうしない。
失敗だ。
「アイ?」
すべてが崩れていく。
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