1-7 魔女は今宵、静かに笑う

 クロスボウによる狙撃、杖の殴打によってふらついた巨大な蝶の幻獣、イリュージョンバタフライ。そこへ大盾による強打をまともに受け、遂には体力が尽き、羽根を動かす力も失い地に落ちた。

 ……勝敗は決した。優勝は、無名の放浪者ヴァグランツチーム。

 新たな決闘士の誕生に、観客席からは大きな歓声が上がる!

 おめでとう! 君たちの勝利だ!


フェデリコ:僕ら、なかなかのチームワークだったんとちゃいます?


メルヴィン:即席にしちゃ悪くねーな。


アルシェ:みんなすごく強くて頼もしかったです!


ワズン:全員無事で何よりだ。


GM:マナーの悪い客は、どうやら誰かが何処かへ引っ張っていったようです。


ワズン:連行。


アルシェ:摘まみだされちゃった。


GM:審判は先程と打って変わって「優勝おめでとうございます! 見事な戦いでした!」とニコニコとした顔で君たちを褒め称えます。


フェデリコ:調子のええやっちゃやな~。


メルヴィン:こんなやつが審判やってていいのかよ。


GM:簡便な表彰式のようなものを済ませた君たちは控室に戻り、優勝賞金と「栄光点」を受け取りました。賞金は一人1,800G、「栄光点」は120点です。


〔栄光点〕

 闘技場システムで獲得できる「名誉点」のようなもの。「冒険者ランク」のように、闘技場を勝ち抜いて「栄光ランク」を上げることで、知名度が上がり、獲得賞金もアップしていきます。

 また、闘技場でのみ使える「栄光アイテム」の購入などにも使えます。専用の控室を用意して貰える権利、などなど……。


ワズン:これを集めろという話だったな。


アルシェ:まだまだ先は長そう~。


* * *


 無事に優勝を果たした一行は、結果を報告するために「魔女の家」へと戻った。

 家主のコハクは、君たちの帰還を満面の笑みで迎え入れる。


フェデリコ:ただいまやで~。


アルシェ:おばあちゃま、ただいま~!


ワズン:今戻った。


GM/コハク:「おかえりなさい! 大会はどうだったかしら~?」


メルヴィン:マナーの悪いやつはいたが、まあ腕を磨く場所としちゃ悪くねえな。戦う相手もよりどりみどりだ。


GM/コハク:「ふむふむ……色々とアクシデントがあって大変だったみたいねぇ。でも、みんな無事で良かったわ~。どう? 初めて一緒に戦ったわけだけど、仲良しになれたかしら?」


フェデリコ:みんな強かったで~! おかげさんで割れずに済みましたもん、ナハハ!


アルシェ:はい! みんなすごく連携が取れてて、頼もしかったです!


ワズン:俺一人ではできないことが多いからな。補ってくれる仲間がいてくれるのは…心強かった。


メルヴィン:まあ、ちいとばかしうるさいヤツは居るが腕は確かだし文句はねえな。


フェデリコ:このまま4人でM-1優勝も狙おか~。


メルヴィン:一人でやってろ!


アルシェ:(M-1ってなんだろ…魔法の大会かな…?)


ワズン:(マジックのM…?)


GM/コハク:「あら、もう立派な漫才コンビね」と、フェデリコとメルヴィンの方を見て笑います。


フェデリコ:ほら、おばあちゃんのお墨付きやで。


メルヴィン:やめろ! タダではやらねーぞ!!


アルシェ:お金払えばやってくれるんだ?


メルヴィン:金が貰えるんならちゃんと台本とかも読み込んでくる。しっかりやるぜ。


フェデリコ:やってくれるんや…。


ワズン:やってくれるのか…。


アルシェ:真面目だ…。


GM/コハク:「うふふ、今後も楽しみだわ~。それじゃあ、おばあちゃんからおこづかい……じゃなくて、報酬をあげなくっちゃね」

GM:というわけで依頼の成功報酬分と、優勝賞金と、倒した敵からの戦利品の分などもここでまとめて清算しちゃいます。


フェデリコ:闘技場の敵って剥ぎ取りしてオッケーなんやね。


GM:なんか、オッケーみたいです。


アルシェ:観客に見られながらやってたのかな…?


メルヴィン:貰えるってんなら、オレは全然気にせず剥ぎ取りするぜ。


ワズン:一貫してるな。


 今回の依頼の結果、一人当たりの獲得金額は4,125G。経験点が1,410点、名誉点が32点、栄光点が120点となった。それに加えて、各々1回分の成長を行う。

 獲得した栄光点を50点支払い、<小妖精のトロフィー>を手に入れたことで、一行は「小妖精級の決闘士」となった。


〔経験値と成長〕

 SWではこのように、敵を倒した時点ではなく、依頼を達成した時点で「経験点」を受け取ります。また、それとは別にダイスを振って能力値を1点「成長」させることが出来ます。

 こうして得られた経験点を技能(≒職業)のレベル上げに割り振り、悩みながら少しずつキャラクターを成長させていく……というのが、同じメンバーで連続して遊ぶ場合の醍醐味です。


GM:今回のシナリオのタイトルは『華々しきデビュー戦』なんですが……なんか、いきなり波乱万丈になっちゃいましたね。


ワズン:ボスが増えたりヤジが飛んできたり。


アルシェ:でもみんな強くて何とかなったから、OKです!


メルヴィン:しかし、強者が手を組んで新人潰しをしにきたのを跳ね除けて…というのはたしかに華々しいかもな。


ワズン:ジャイアントキリングというやつか。


フェデリコ:僕ら注目の新星ってワケね。


GM/コハク:「本命の依頼のためにこの「栄光ランク」をもっと上げていってもらいたいわけだけど……まぁ、のんびりお願いするわね。10年くらい掛かっても大丈夫よ~」


アルシェ:長命種は気が長いなぁ。


ワズン:ルーンフォークこっちは50年で稼働停止してしまうんだが…。


フェデリコ:ほな、そうしましょか…(寿命400年くらい)。


メルヴィン:フロウライトこいつは素なのか、ノリなのか…。


GM/コハク:「街に滞在している間、この家は自由に使ってもらっていいからね。自分の家だと思ってくつろいでちょうだい」


フェデリコ:助かるわぁ、このナリじゃどこ行っても注目の的なもんで。


メルヴィン:…お代は?


GM/コハク:「あら、そんなの必要ないわよ~。あなたたちは大事な協力者なんだもの」


メルヴィン:よっしゃ!! ありがとうございます!


GM:高速でゴマ擦ってる(笑)。


メルヴィン:タダにはものすごく弱いので…。


ワズン:何から何まですまないな…仕事以外でも手伝えることがあったら言ってほしい。


アルシェ:ありがとうございます! お兄ちゃんには…内緒で!


GM/コハク:「ふふ、もちろん。お兄ちゃんに心配されちゃうものね~」


ワズン:…その兄からしてみると、妹が知らない男三人と下町の隠れ家で同居していることになるのか。


フェデリコ:アカン。こんな怪しい男ばっかりと一緒なの見られたら、お兄ちゃんストレスで血ぃ吐いてまう。


メルヴィン:言っておくが、お前が一番怪しいからな。


フェデリコ:ひどい! 僕こんなに明るいのに(顔面を光らせる)!


アルシェ:わぁ明るい(物理)。


GM:……そんなわけで、まんまと衣食住を握られた君たちは、今後は『魔女の手先』として色々と働かされることになるのでした。


ワズン:皿洗いとかも任せてくれ。


アルシェ:やさしい(笑)。


GM:それでは以上でセッションを終了します。おつかれさまでした!


一同:おつかれさまでした~~~!

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